仲良し兄妹が思い出を振り返るよ!


引っ越し先が決まり、入居日までに少しずつ荷造りを始めていった。学校の間は歌姫さんが代わって荷造りを進めてくれた。荷物を運び終えると、この部屋最後の動画を録ることに。

「じゃ、最後の動画録るか。」
「うん。」

物ひとつない部屋の中でお兄ちゃんと二人並んでカメラに顔を向ける。お兄ちゃんが録画ボタンを押した。

「るんるんチャンネルをご覧の皆さん、お疲れサマンサー!皆のお兄ちゃん、悟だよー!」
「お疲れサマンサー、皆の妹、馨です!」
「今日はなんと、最後の動画です。」
「はい、最後です。」
「思い起こせば色々あったねぇ。僕と馨が初めて2人暮らし始めてからもう2年半くらいか。」
「動画配信もその頃から始めたんだよね。」
「最初はどんなもんかと思ってたけど、だんだん視聴者数も登録者数も増えて、嬉しい事に今ではなんと、チャンネル登録者数が100万人を突破しました!(パチパチパチパチ)」
「わーい!(パチパチパチパチ)」
「それでね、Yon Tubeさんからこれが届いたよー!」

お兄ちゃんが長方形の箱を背後から取り出す。

「じゃーん、銀の矛でーす!」
「本当は先週届いてたんですけど、折角なので節目に公開しようってことで、今日公開しました!」
「この部屋で撮影するのは最後なんだけど、新居では心機一転さらなるるんるんチャンネルを見せれるように頑張るから、皆今後も応援よろしくねー!」
「よろしくねー!」
「じゃ、新居に行こっか。」
「うん!」

お兄ちゃんと一緒に立ち上がって手を繋ぐ。

「「せーのっ!」」

その場で2人でジャンプをして、笑いながら録画を止めた。

「はぁ…この部屋とホントにお別れかぁ…寂しいなぁ…。」
「馨気に入ってたもんな。」
「うん。だって楽しかったもん。」
「これからは新居でもっと楽しもうぜ。じゃ、行くか。」
「うん。」

銀の矛とカメラを手に、部屋を出る。新居への荷物も到着しているので、歌姫さんの運転で新居に向かう。新居に着くと早速荷解きを始めた。と言っても、歌姫さんが部下の人たちとあらかた進めてくれていたので、それもすぐに終わった。

「ジャンプからスタートな。」
「分かった。」
「じゃ、押すぞ。」

録画ボタンを押したお兄ちゃんが私の隣に立つと、2人で手を繋いでジャンプした。

「新居着いたよー!」
「わーい!早速新居案内しまーす!」
「まずは今いるリビング!見てこれ、超大型テレビ!立体音響にもできるスピーカーにしてみたよー!」
「え、あれ!?いつの間に!?前のテレビどうしたの!?」
「あぁ、傑にあげた。」
「聞いてないっ!」
「え〜言ったら馨ダメって言うかなって思って〜!」
「だからって相談もなしは酷いよぉ…!」
「あとこっちキッチン!」
「ちょっと待って!!冷蔵庫も変わってるじゃん!」
「それは硝子にあげた。」
「それも聞いてない!」
「うん、言ってない。」
「酷い!」

その後も部屋を案内していくと、私はあるものがないことに気付いた。

「え…、待って、なんでお兄ちゃんの部屋ベッドないの?」
「馨の部屋もないよ?」
「え!?…あ、そういえばなかった…!!なんで!?」
「寝室を作りましたー!」
「それも聞いてないっ!!」
「サプラーイズ!」

寝室のドアを開けると、大きなキングサイズのベッドがひとつ。え、ひとつ?!

「じゃーん!僕と馨の寝室でーす!今日からお兄ちゃんと一緒におねんねしようねー!」
「ちょ、っと、どういう事…!?」
「今日からるんるんチャンネルは、カップルチャンネルとしても活動していくからよろしくね☆あ、勿論企業案件だから、マジじゃないよー!それで色々家具入れ替わったから、今後どんどん紹介していくよー!」
「何もかも聞いてない…。」
「馨怒っちゃった…?」
「怒ってないけど…相談して欲しかった…。」
「ごめんね、ぎゅーするから許してよ。ほら、ぎゅー!」
「うっ、くるじい…、」
「許してくれる?」
「ぅ、許すから顔面の無駄使いやめて…。」
「馨の為ならいくらでも僕のご尊顔を使うよ。ってなわけで、無事引っ越し終了!銀の矛はリビングに飾ろうかな。」
「これからもるんるんチャンネルをよろしくお願いします!」
「それじゃあ皆さん、お疲れサマンサー!」
「お疲れサマンサー!」

録画ボタンを押してカメラを止めると、お兄ちゃんが私を抱き締めた。どきんどきんと心臓が暴れる。お兄ちゃんの手が私の頬を撫でると、それだけで私は期待してしまう。

「…さ、悟、」
「んー?なあに、馨。」

動画を録る時の口調のまま、お兄ちゃんがニッコリと笑った。キュンと心臓が震える。

「…好き、」

絞り出すように囁いた愛の言葉に、お兄ちゃんは…悟は、フッと笑って私にキスをした。それを受け入れて、今日は自分から舌を絡めてみた。あまり慣れていないぎこちない私のキスを、お兄ちゃんは…悟は優しく受け止めてくれる。

「ん…ふっ…、はぁ…、すき、」
「ふふ、今日は積極的じゃん。どうした?」
「…だって、あんなこと言うから…、嬉しくて、」
「あんな事ってどんな事?」
「…その、か、カップル…チャンネルって…、」
「ああ、あれ。うん、やるよ。実際オファー来なかったら堂々とできなかったし。」
「今までも結構堂々としてたけど…、」
「これからは白昼堂々イチャイチャできるってこと。勿論キスもできる。」
「え、それは嘘だ…、」
「うん、嘘。でも同じベッドで寝たり、お揃いのルームウェア着たり、いろいろできる事は増えた。周りに文句言う奴がいたらすぐ俺に言えよ。」
「…うん。」

再び近付いた唇。

「ベッド使ってみようぜ。」
「ひゃっ!?」

突然お姫様抱っこで寝室まで運ばれると、ベッドにそっと下ろされた。悟は来ていたTシャツを脱ぎ捨てて、私に噛みつくようにキスをした。


『るんるんチャンネル:引っ越し完了しました!2年半ありがとう…!( ;∀;)大事なお知らせもあるので、是非見てくださいね!( *´艸`)♡ 馨』
『西中の虎:@るんるんチャンネル お疲れサマンサー!引っ越し無事に終わって良かった!』
『恵:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れさまでした。すぐに見ます。』
『モブ子:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れサマンサー!大事なお知らせ!?気になる!!』
『直哉ちゃんねる:@るんるんチャンネル 馨ちゃん引っ越しお疲れ様!引っ越し祝い送るさかい住所教えてや。』
 『るんるんチャンネル:@直哉ちゃんねる 誰が教えるかよ。 悟』
 『直哉ちゃんねる:@るんるんチャンネル あ、お兄さんどーも♡俺と馨ちゃんの為の新居おおきに♡』
 『るんるんチャンネル:@直哉ちゃんねる はい、通報ブロックスパム報告しまーす。 悟』
 『直哉ちゃんねる:@るんるんチャンネル そら勘弁してや…!』
『脹相:@るんるんチャンネル 引っ越し祝いをやろう。住所を教えてくれ。』
 『るんるんチャンネル:@脹相 無理。 悟』
『西中の虎:@るんるんチャンネル 見てきた!!!カップルチャンネルってマジ!?え、カップルチャンネルって何するんだっけ!?』
『傑:@るんるんチャンネル 100万人おめでとう。あんまり過激になるなよ。』
 『るんるんチャンネル:@傑 流石に企業案件だし、そこまで心配することはしねぇよ。』
 『硝子:@傑、@るんるんチャンネル 引っ越し祝いいつすんの?』
 『るんるんチャンネル:@傑、@硝子 LIMEするわ。』 
『モブ美:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れサマンサ!!100万人おめでとうございます!!カップルチャンネルになったって事は私はキュン死ぬってことですね、ありがとうございます!!!』
『呪いの王:@るんるんチャンネル たったの100万人か。頑張れ頑張れ。』
『73:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れ様です。銀の矛おめでとうございます。』
『おにぎり:@るんるんチャンネル ツナマヨ!!いくら、すじこ!!(^^♪』
『パンダ:@るんるんチャンネル 引っ越したのか、お疲れー。』
『真希・真依チャンネル:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れ。今度遊び行かせろよ。 真希』
『真希・真依チャンネル:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れ様。馨の部屋で女子会決定ね。 真依』
 『るんるんチャンネル:@真希・真依チャンネル 勿論僕も入れてくれるんだよね☆ 悟』
 『真希・真依チャンネル:@るんるんチャンネル その目、節穴みたいね。ただの穴にしてあげる。 真依』
『モブ代:@るんるんチャンネル カップルチャンネル化おめでとう!!そしてありがとう!!!思う存分いちゃいちゃしてください!!』
『モブ佳:@るんるんチャンネル 引っ越しお疲れサマンサー!100万人おめでとう!!( ;∀;)一生ついていきます!!目指せ金の矛!』

title you