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ぐ、と震える唇を噛んで、瞼を強く閉じた。
「…俺といるの、嫌だって思わない?」
「思わない!!」
ぶんぶん首を振る。強く否定した。
何度も言ってるのに。こんなに言ってるのに。
…どうして信じてくれないんだろう。
「だって、…おれは、くーくんさえ傍にいてくれれば、そこがどこでも幸せだから」
「…俺も、まーくんと一緒なら…幸せだよ」
正直な告白をすることがちょっと恥ずかしくて、へへ、と冗談ぽい口調で笑ってみた。
その胴に腕を回してぎゅっと抱きしめると、抱きしめ返してくれる。
…多分、…お母さんとお父さんよりも、くーくんが一番大好き。
おれだって、どうしてここまで思うのか、自分でも理解できない。
本当にこれが好きって感情かって聞かれたら、確証はないけど、
…今思うこの気持ちが好きっていうことなんだって、思いたかった。
それに、最初にここで目が覚めた時、自分のいる場所も、時間も、全部わからなかった。なのに、身体中が痛くて痛くてたまらなくて、……さっきくーくんが言ってたように確かに不安で、怖かった。
わからないことだらけで、お母さんもお父さんもいない。
…だけど、どうしてかわからないけど、家に戻りたいとは思わなかった。
(…あんなにお母さんがいないと、お父さんがいないとだめだって思ってたはずだったのに。)
今だって、全てを理解したかって言われたらそうじゃないけど、でも、多分今ここに安心していられるのは、いつも傍にくーくんがいてくれるからだろうなって思う。
…だから、くーくんがいてくれればそこが世界だから、他には何もいらない。
知る必要もない。
「くーくん」
「……何?」
迷子の子どものような表情で瞳を翳らせている彼に、微笑む。
難しいことはよくわからないけど、さっきの言葉からすると、くーくんはおれが他の人に傷つけられるのが嫌だって感じる…?ってことだと思うから。
「だったら、…やく、そく…する?」
「…うん。する」
どんどん増える約束は、お互いを縛りあげるものばかりで、…ちょっと楽しい。
「くーくん、どんなのがいい?」
「…俺は、まーくんが他の人間の目に映るのも、触られるのも、俺以外の前で泣いたり、泣かされるのも…凄く嫌だ」
「…さ、流石に見られないようにするっていうのは無理だよ」
それを叶えるなら、一生部屋の中に閉じこもってないといけなくなる。
…そうしたら、くーくんと一緒に外に遊びにもいけないのに。ちゃんとそこ、わかってるのかな。
む、とちょっと眉を寄せる。
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