13
ぼろぼろと涙をこぼしてその欲を、吐き出してしまう。
尿道を精子が駆け上がる感覚。
ぎゅーーって下半身全体が疼き、激しい快感に襲われる。
びく、びくっと脈動し、びゅくびゅくと吐き出された粘稠の白濁液は蒼の手で受け止められ、手の平から伝い落ちる。
自分の腹の上に零れ、濡れた感触が、イかされてしまったという事実を嫌でも伝えてくる。
痺れているように頭の中が鈍い。
荒くなった呼吸と、身体に残る甘い感覚に身を委ねた。
イッたせいで身体に力が入らない。
は…っ、は…っと絶え絶えな息を整えながら、どこともいえない壁を睨み付けた。
視界が歪む。
眼球が熱くなる。
心臓を鷲掴みされたように、ぎゅっと痛くなる。
「……まーくん」
頬に触れようとしてくる蒼から顔を背けて、「…きら、い」と吐き捨てた。
その言葉に、動きが止まったのがわかった。
涙が途方もなく零れてとまらない。
きらいだ。きらいだ。
「…ふ、あおい…っ、なんか、きらいだ…っ、だいっきらいだ…っ」
声を上げて泣くおれに、戸惑ったように、深く傷ついたような表情を浮かべた。
……そんな顔したって、罪悪感なんてわかない。
もう嫌いだ。いつも、こんなことばっかりしてくる蒼なんか。
蒼を避けるように、背ける。
枕を投げつけ、子どもみたいに喚いた。
「だいっきらいだ…っ、ばか…っ、もう蒼なんかしらない…っ」
「……っ」
そんなおれの言葉に酷く辛そうな顔をして息を呑み、彼は俯いて目を伏せた。
「…ごめん」
「……しらない…っ、」
ぽつりと謝る蒼にぶんぶん首を横に振って、ネクタイを解かれて自由になった手で顔を覆った。手が涙で濡れて、ぼたぼたとシーツに零れる。
「なんで…っ」
涙で上擦った声が漏れた。
なんで。
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