3

『んぁ、は、る、ぅ…っ』、


ギシッ、ミシッ。
えーっと、この式を解くためには、sinXをtとして、


『はぁンっ、はるっ、はるっ、』


sin xを微分するとcosxになるから…、


『イイ…ッ、ソコ…っ、もっと、もっとぉ…っ』

「…………」


ピキッ。

シャーペンの針が折れた。
頭をかきむしりたい感情に駆られる。


(だぁぁぁ、もう、うるせーんだよ。今何時だと思ってんだよ!!)


もう夜中の1時だぞ。

既に皆さんご就寝中の中で、ギッシンバッタン夜の運動会やってんじゃねぇよ。
やるなら外でやってこい。そして補導されろ。

(近所迷惑考えろ、バカ)

壁をキッと睨みつける。
せめてこの苛立ちくらい伝わらないものかと、じーっと見つめてみる。
そんなことを考えてる間にも何かが軋む音。

ミシッ、ギシッ!

青筋が立った。


「うるさいこの変態くそやろう」

流石にこんな真夜中に大きな声は出せないけど、怒りをぶつける相手がいないからとりあえず、おりゃあと枕を壁に投げつけてやる。
ボスッと間の抜けた音をだして、それは床に落ちた。

(…惨め…)

床に落ちた枕を眺めて、はぁと重い息を吐く。

ずっと怒ってるわけにもいかないので、枕を拾ってポンポンと軽く叩きつつゆっくり呼吸をして精神を落ち着かせた。


「………勉強しよ」


ああもうなんなんだと泣きたくなりながら息を吐く。
そして座布団に座って、よしと意気込んでもう一度シャーペンを握った時だった。


『ィぁぁああ…!!!イッちゃう!!イッっちゃううう!!』

「……っ、くそ」


やめろおおおぉぉ!!

血眼になる。

ペンを机の上に放って、ごろごろと床の上で苦痛に悶えた。

(あああああ…!!もう、集中できねぇぇぇ…!!!!)
prev next


[back]栞を挟む