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「ん゛っ、んっ゛、は、ぐ、っ、」


グチャグチャ、パンパン、ヌヂュヌヂュっ、


結合部から響く水音にも、どう足掻いても漏れてしまう自分の喘ぎ声にも耳を塞ぎたくなる。
恥ずかしいやら現実を受け止めたく無いやらで閉じていた目を開けると、枕を顔に押し付けられた。


「見るな…っ、ばか」


どっちだよ…!!
この体勢でやり始めたのそっちだろ…!
なんて言える状態でもなかった俺は縛られた手で枕を掴んで、せめて変な声を漏らさないようにとその枕に口を押し付けた。


「俺より先にイッたら、殺すから」

「ひぃ、ん…っ、ぁ…っ、そんな…っ、うぐ、」


無茶言うな…!!

仕方なく先端を指できつく掴んで抑えようとする。
そんなことを言うくせに、律動の速度を遅くしないから気持ちよくて簡単にイきそうになる。
ぐちゃっぐちゃっと淫らに奥を掘られて、かっこ悪いけど、その腰を打ち付ける激しさに、快感に、抗う意思なんかとっくの昔に失われていた。

(童貞なめんなよ…!!)

全くかっこよくないことを心の中で叫ぶ。

一方的に与えられる快感になれていない童貞が、イくのを我慢するなんて至難の業だ。
骨盤全体が痺れ、ちんこの奥にむず痒い感覚が生じた。
下腹部がビクンビクンと細かく痙攣している。

(…や、ばい…っ、)


「んっ、んぅ…っ、ぁ゛…ッ、?も゛、ぃ゛、ぐ、…ぅ、むり…ッ、むり、ぃ゛…ッ」

「無理じゃない」


拗ねた子どもみたいな口調でぶっきらぼうに吐き捨てた麗央が前後に激しく動くのに合わせて、ベッドが揺れる。
抜かれるたびに、自分の熱く蕩けた内部がそれを妨げるように締め付けているのを感じる。


「ぁぐぅ…っ」


さっき指で触られてやばかった場所を亀頭の先端が何度もゴリゴリしてくる。
開いた股の間でグチャグチャ音を鳴らしながら抜き差しされて刺激されてるのに、何故自分だけが我慢しないといけないのか。

動いた拍子に顔の上に乗っけられていた重い枕がずれた。


「…――ッ」


視界に入ったその光景に、思わず息を呑む。
快感の混じった余裕のない表情。
それは、普段見たことのなかった、色気駄々漏れな表情で。

…確かに悔しいが女子にモテるのがなんとなくわかる気がする。

余裕がないこの状況で、一瞬でここまで考えた俺すごいなんて自画自賛しながら、「ぅ…ひぃ…っ」と相変わらず忠実な下僕っぷりでちんこの先端をおさえていた。


「だから気持ち悪い顔でこっち見んなって言ってんだろ、下僕のくせに」

「…っ、」


目が合った瞬間、眉を寄せて。
彼はそんな毒を吐くソレで俺の唇を塞いだ。


「んぅ…!?、――ッ」


驚いて、目の前で瞼を閉じるその綺麗な顔に目を見開いた直後。
強く最奥まで突かれ、さすがに我慢できず、ちんこから指が離れた。
ガクガクと身体を震わせ、生暖かい液が飛び散る。


「…っ、は、ぁ……」


(しまった…先にイってしまった…)


けど、仕方ない。
…気持ちよかった。

勢いよくちんこから出た精液で自分の顔や制服だけでなく、麗央のワイシャツも汚してしまった俺は、後で麗央にぼこぼこにされるだろうなんて数時間後の自分を予知して涙をこぼした。

でも、ずっと我慢してた尿道内の白濁液が一気に解放された気持ち良さでそんなことはもうどうでもいい。

ドクドク…っ


(……あった、かい……)


…同時に奥に熱いモノがたたきつけられて、ほっと気が抜けた瞬間、視界が暗転する。

………

…………………


「…下僕の、ばーか」

意識を失う直前、そんな声が聞こえてボフッと枕を顔に投げつけられた。
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