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「今日の昼御飯、何がいい?」


ベッドの上でごろごろしているまーくんが、眠たそうな瞼を若干閉じながら問いかけてくる。さっきまでぐーぐーお昼寝をしていたせいか、大分呂律がまわっていない。


「昼御飯、か…。んー、まーくんの作るものなら何でも美味しいから、選ぶの難しいな」

「あ、ありがとう。なんか、照れるな…」


微笑んでそう返せば、頬を赤くしながら幸せそうにはにかんでいた。

(嗚呼、すごく可愛い)


「おいで」といつものように声をかけると、ベッドからおりて、恥ずかしそうに近寄ってくる。

あまりにもその姿が可愛くて、愛しくて、待ちきれずに腕を掴んで、抱き寄せた。
有無を言わさず、唇を重ねる。


「…っ、」

「もう付き合って5年も経つのに、まだ慣れないんだ?」

「……ば、ばか」


揶揄うと、真っ赤になって俯いてしまった。
相変わらず純粋というか、変わらないなあと思う。
なんとなく、癖でその髪を撫でると、猫のようにくすぐったそうに目を細める。

(……あの日、)

俺がごみ捨て場で拾ってもらった日、
手を引かれて家につくと、そこで出迎えてくれたまーくんの両親は二人ともすごく優しくて、あったかい感じだった。

…例えるなら、下校中に道端でみたことあるような、…両親に両側から手を引かれて笑う小さい子、みたいな…うまく言えないけど…そんなごく一般的な普通の家庭…みたいな感じ。

彼らは、俺が父親にされていることを知って、信じられないくらい親身に話を聞いてくれた。

それから児童相談所、警察と色々面倒なことは沢山あったけど、
それでもそれを全部やり遂げたから、まーくんやまーくんの両親が力を貸してくれたから、…今こうして…一緒にいられる。


「………ありがとう、まーくん」

「…へ?料理なら俺も楽しいから全然いいよ?」


違う解釈をされてしまったが、まあいいやと流して、首をかしげて不思議そうな顔をするまーくんの背に腕をまわして優しく抱き締める。

温かい体温と、好きな香りに心が満たされていくのを感じた。
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