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「俺と結婚してください」
「………は?」
一度も話したことのない上級生に、そう言われた。
唖然とする。
え、いや、…え?とわけもわからず困惑する。
当然だ。
まぁ…百歩譲って、女子ならわかる。
でも、
「…オレ、男です、けど…?」
「知ってる」
オレを見つめる目が真剣だった。お、おお…、?もうたじろぐしかない。
目の前にいるのは、息をのむほど整った相貌の『男』。
そのぐらいの情報しかない。
ネクタイのラインの色が違うから、年上なんだろうということだけはわかった。
けど、他、どんな趣味、性格、話し方、全く知らなかった。
入学式後。
廊下でやけに女子に騒がれている人間がいるとは思った。
へぇ、と驚きはしても興味はなかったから、普通に通り過ぎようと思った。
なのに、すれ違った瞬間「…っ、――…?」知らない名前が聞こえて、その直後焦ったように腕を掴まれ、抱き締められた。