彼との出会い

***


「俺と結婚してください」

「………は?」


一度も話したことのない上級生に、そう言われた。

唖然とする。

え、いや、…え?とわけもわからず困惑する。

当然だ。

まぁ…百歩譲って、女子ならわかる。


でも、


「…オレ、男です、けど…?」

「知ってる」


オレを見つめる目が真剣だった。お、おお…、?もうたじろぐしかない。

目の前にいるのは、息をのむほど整った相貌の『男』。

そのぐらいの情報しかない。
ネクタイのラインの色が違うから、年上なんだろうということだけはわかった。
けど、他、どんな趣味、性格、話し方、全く知らなかった。

入学式後。
廊下でやけに女子に騒がれている人間がいるとは思った。

へぇ、と驚きはしても興味はなかったから、普通に通り過ぎようと思った。

なのに、すれ違った瞬間「…っ、――…?」知らない名前が聞こえて、その直後焦ったように腕を掴まれ、抱き締められた。

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