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…嗚呼、そうか。
今、俺は首を絞められているんだと、思った。
「…なぁ、こうすると…全然動けないだろ?」
「っ、は、」
薄暗い部屋と、首を掴む手。
指が、ぐぐ…と皮膚に食い込み、気道を狭めてくる。
それほどの力を込めてはいないと思う。
…だって、痛みはあってもまだ苦しさは声をあげるほどじゃないから。
さらに力を込められると、流石に顔が歪んだ。けど、比較して相手は恍惚とした笑みを浮かべている。
「…っ゛、なる、せ…」
「ん?」
綺麗な顔で小首を傾げる男に、悪びれた様子は全くない。
…それに…コイツの後ろ…向こう側の席では、男友達数人がマイクを持ってはしゃぎまくっている。
本来なら驚いて何をしているんだと、こっちを見るだろう。
慌てて止めることもあるかもしれない。
けど、それもない。
まるでこれが日常的に行われている行為のように、誰も俺達二人がしていることなんて気にもしていなかった。