1(久遠ver)

***


…嗚呼、そうか。

今、俺は首を絞められているんだと、思った。


「…なぁ、こうすると…全然動けないだろ?」

「っ、は、」


薄暗い部屋と、首を掴む手。

指が、ぐぐ…と皮膚に食い込み、気道を狭めてくる。
それほどの力を込めてはいないと思う。

…だって、痛みはあってもまだ苦しさは声をあげるほどじゃないから。

さらに力を込められると、流石に顔が歪んだ。けど、比較して相手は恍惚とした笑みを浮かべている。


「…っ゛、なる、せ…」

「ん?」


綺麗な顔で小首を傾げる男に、悪びれた様子は全くない。

…それに…コイツの後ろ…向こう側の席では、男友達数人がマイクを持ってはしゃぎまくっている。

本来なら驚いて何をしているんだと、こっちを見るだろう。
慌てて止めることもあるかもしれない。

けど、それもない。
まるでこれが日常的に行われている行為のように、誰も俺達二人がしていることなんて気にもしていなかった。

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