(その後、友人side)


***


「秀也、別れたくない…私…」

「…ごめん」


服を掴んで食い下がる女に、少しトーンを落として謝罪している友人の姿。

(……あいつが振ってんの見んのこれで何回目だっけ)

いやまぁ大抵俺が見るのって、告白されて振るって時だけど。

けど、今回は珍しく付き合い始めてうまくいってそうに見えたのに、残念ながら彼女の願いは叶わなかったらしい。
罪な男だぜと友人の整った顔面を遠くから眺め、やれやれと溜息を吐いた。


「成瀬、おはよ」


軽い口調でポンと肩を叩く。
何故か驚いたように振り向き、けれど俺を見た瞬間にその瞳に若干落胆したような色が見える。…んん?


「なんだよ。俺で不満か?」

「別に、そうじゃない…けど」

「そうか?」


(…けど、?)自覚しているのか若干の歯切れの悪さがあった。でも、もしかしたら俺の勘違いかもしれないしと首を傾げ、共に歩く。


「まぁわかるよ。お前と付き合いたくなるの。顔良いわりにすげー優しいし?細かい気配りするし?イケメンって言われ慣れてるくせに調子乗ってねーしさ」

「…あのさ、それ言われてどう反応すればいいの」

「照れんな照れんな!ありがとうって言っときゃいーんだよ!」


バシバシ肩を叩きながら教室に着くまでの間、昨日の晩飯、今日の講義内容などぐだぐだと話をする。一緒に講義室に入り、適当な席に座る。

…と、


「成瀬?どうした?」

「……」


まだ立ったままの成瀬の視線の先には、…一人の男。

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