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今日の朝、教室で、さっくんを執事にしたいって言われた時にふわって香った匂いと…同じ香りが、今のさっくんからもする。
ほとんど教室にいなかった桃井。
普段より着崩れてるさっくんの服となくなったネクタイ。
朝とは確実に違う雰囲気と、同じ香りの二人。
真新しい二つのキスマーク。
…性の知識に疎い自分でも、これだけ証拠があればわかる。
「さっくんは、桃井とも…キスしたのか?」
「…っ、」
不意打ちだったらしい。
オレの問いに、さっくんの表情が微かに変化した。
図星を突いた、そんな感じだった。
「…したんだ」
落胆したような声が零れた。
一気に気分が萎えていく。
別にさっくんが誰とキスしようが、いかがわしいことをしようが、匂いがつくくらい抱きしめあってようが、今のオレには前みたいにそれを制限する権利はない。
(でも、でもさ、)
「さっくんって、案外軽いんだな」
「……っ、゛」
家族とのキス以外は、すっごく大切な人とするキスしかないって言ってたのに。
…桃井はさっくんの家族でもなければ、ほんの昨日までただの生徒でしかなかったはずの人間だ。
なのに、執事になったからってほいほい簡単にするなんて、おかしいだろ。
「……それか、やけに女の扱い上手いっていうか…女慣れしてるし、キスくらいなんでもないのか」
(もしそうでなければ、もう恋人ってやつになったのかもしれない)
随分関係が進展するのが早いんだな。
まぁ、そりゃあお互いに好きなら教師と生徒ってこと以外に何の問題もないのかもしれないけど。
だからって授業さぼらせてまで桃井と…その、いちゃいちゃするのは良くないことだと思う。
「…したいんなら、素直に桃井のところに行けよ」
「オレで遊んでないでさ」と付け加え、気丈に振舞って、身体を起こす。さんざん身体を弄ばれた後だから、腰から崩れおちそうになって、ぐ、と必死にこらえた。ここでみっともない姿を見せられるか。
…きっと、大方、桃井が疲れたのかなんだかで寝てて、だからオレをからかって暇を潰してたんだろう。
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