17

わざわざ猫まで使って。しかも、噛まれてから体がだるいのはまだ治ってないし、最低なやり方だ。


「帰る。さっくんはゆっくり桃井とキスでもしてれば」


やるせない気持ちのまま手で肩を押せば、よろめくようにさっくんは上から退いた。
さっきまで激しく抵抗してたのがウソみたいに簡単だった。

乱れた服を戻し、嫌だけど仕方がないと濡れた下着とズボンを履きなおす。うわ、おしっこと精液でべちゃべちゃ。

ズボンのホックをかけながら、いまだに何も言葉を返さないさっくんをチラッと見て、…後悔した。


「………っ、」


(…そういう顔するのは、卑怯だ)

すぐに視線を逸らす。

気づかなかったふりをして、カーテンを開けるために、指先に力を入れる

…と、


「…そら、…さ、」

「…っ、」


…腕を、掴まれた。
振り向き、彼の表情を見て、また狼狽える。

ガタッ。

動揺したせいで、後ずさった足が棚に当たって大きな音が鳴った。


「…ぁ、」


どっちの声だったか、声が漏れる。

同時に、バタバタと別の足音が近づいてきて、シャーっと勢いよくカーテンが開かれた。


「…っ、音海くん、が、なんで」

「……」


桃井と目が合う。
瞬時にその顔が驚きと恐怖と怒りの感情でごちゃまぜになるのがわかった。


「なんで一緒にいるの…っ?」


掴みかかるような勢いで迫ってくる桃井に、どうしてそこまで焦るんだろうと思う。

もうオレとさっくんは主人と執事の関係じゃなくて。

しかも、さっくんと同じように桃井の制服も胸元がはだけてて、…その首元にもちゃんとおそろいのキスマークがついてるのに。


「体調が悪かったから、ちょっと休ませてもらっただけ」


「オレ、帰るから」と吐き捨てるように投げて、それ以上何かを言われる前に足早に保健室を出た。

prev next


[back][TOP]栞を挟む