8
するりと絡められる指に、小さく息を漏らす。
目を軽く伏せ、滲む幸福とぞくりとする感覚に小さく身を震わせた。
伸ばした手を、彼を求めた手を…受け入れられる感覚。
「――――」
後ろから抱きしめられているこの瞬間が、どうしようもなく好きだと思ってしまった。
……
……………
「え、映画、良かったな!面白かったな!」
胴に回されてる腕とか、背中にある身体とかのせいでそんなんどうでも良くなってたけど。
それでも、怖い場面ではぎゅっと抱き締めてくれるから、さっくんの体温を感じて恐怖は少し和らいだ。
気恥ずかしくて、ぱっと身体を離す。
その勢いで後ろを振り向き、「…っ、」息が触れるかと思うほど近くにあったさっくんの整った顔に心臓がひっくり返った。
飛びのこうとして、手を掴まれる。
「…さっくん、?」
「……」
何も、言わない。
複雑そうな、と表現するのが正しいような面持ちで、
…普段と違う雰囲気に、思わずこく、と喉を上下させた。
「……え、と、どうし…」
「何か、他にしたいことある?」
結局、口にされた言葉は本当に言いたかったことではなかったのだろうと思う。そんな声音に、追及すべきか一瞬迷った。
「…じゃ、じゃあ、してほしいことなら、ある」
ごきゅ、と変な音を鳴らして、まだソファーに座ったままのさっくんを見下ろす。ずっと、してほしかったこと。
「うん。何?」
「……い、嫌だって言われるかも、」
怯んで言えないオレに、彼は首を横に振り、優しく目を細めた。
「可愛い弟の御願いは、何でも叶えてあげたくなるよ」
「っ、」
甘…!!
甘い…!!
なんだこの蕩ける笑顔は…!!
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