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「…まさかそのせいで、御自身のお小水により窒息させかけさせてしまうなんて…」

「………」


………なんかそれだけ聞くとばかみたいだなオレ。


さっくんがしゅんと頭を垂れている。
前髪が、長い睫毛の目元にかかり、余計にしょぼくれているように見える。


「…誠に申し訳ありませんでした。今後はできるだけ夏空様に近づかないように致します」

「…っ、ちょ、」


言いかけた言葉を、止める。

それはそれで困るというのが本音だった。

だって、気持ち良いことは嫌いじゃない。
だれだって気持ちよくなれるもんなら、気持ち良くなりたいだろう。

……これを言っちゃうと、かなりオレの頭がおかしいみたいだけど、


「…めっちゃ…きもち、よかった…から、良い…」

「…夏空、様…」


恥ずかしくて、ぷいとそっぽを向く。
(ほんとは身体がぎしぎしで、ちょっとしかそっぽ向けなかった)


「でも、あんな凄いのはちょっともう怖いから、やだけど…もうちょっと優しいやつなら良いかなって、」

「…ですが、俺は…」


良いって言っても、どうしてか困ったように顔を伏せてばかりだった。

いつもならオレが寝てたらぎゅうううってしてきててもおかしくないのに、今はさんめーとるくらい離れたまま近づいてこようとしない。

…なんだか、すごく寂しい。


「…さっくん…」


頑張って身を起こして、動かしにくい身体を引きずるようにしてそこに手を伸ばす。

…と、「わ、」ガク、と腕から力が抜けて崩れ落ちる。



「…っ、夏空様…ッ、あまり動かれては、」

「…ぅ…」


オレを抱きとめ、支えてくれる腕を、掴む。

そしてハッとしたように離れようとするさっくんの腰辺りに強く抱き付き、首を横に振った。


「……もう、教えてくれないのか…?」


抱きしめたまま上を見上げれば、焦りと心配を滲ませた表情をしている。
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