3

回した腕に、ぎゅっと力を入れた。


「きもちいいこと、オレにするの…いやになった…?」


さっくんがいないと、一人でイクことすらできないのに。
…もししてくれなくなったら、オレはこれからどうしたら良いんだろう。

それに近づかないってことは、これからぎゅってすることもできないし、手を繋いだりもできない。…そんなの、いやだ。


「…その台詞は相手によっては誤解を生みかねない大分危ない発言ですので、絶対に俺だけにしてくださいね」

「……?」


危ない…?
頬を染め、口元を手で覆ったさっくんに視線を逸らされる。
じっとそんな様子を見つめたまま、よくわからない言葉に首を傾げると、何故か大きなためいきを吐かれた。何故だ。なぜなんだ。


「……本当に、赦してくださるのですか…?」

「うん」

「夏空様は、…相変わらずお優しいですね」


こくんと躊躇いなく頷くと、ふわりと微笑み、眩しそうに目を細めるさっくん。
その顔をみると、ふわって心があったかくなる。


「うむ!オレは優しいんだ!だから頭なでなでしてくれ!」

「…ふふ、はい」

「これで仲直りだぞ!」


よしよし、と髪を撫でられ、にしし!上機嫌に笑う。


「嗚呼、もう可愛くて堪りません…。どうして貴方はそれほどまでに愛らしいのでしょう。」

「…っ、」


頬を染め、目を涙で潤ませながら、オレの前髪を上げ、額に軽く唇を触れさせた。
そのまま、ぎゅうっと抱きしめてくる。


「あ、でも、ちょっと待って」

「…?」

「あのな、オレを抱っこしてくれ」


腰に回した腕を外して、「だっこ」とさっくんに向けて広げる。


「ぎゅってしてくれ」

「…っ、はい」


布団をどかしてもらう。

さっくんの首に腕を回すと、腰と膝の下に手が差し込まれ、一瞬のうちに『姫様だっこ』という名称らしいヤツをされる。人前では絶対にやってもらわないが、家ならまぁいいだろう。許される範疇だろうと思っている。うむ。

抱きかかえてくれている腕によって体勢を安定させるためか、抱き寄せられる。
さっくんと距離が近づいたことで、その綺麗な黒髪とか、色々良い匂いがふわって近くに香る。
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