2

膝の上に股を開いて乗ったまま至近距離で目を合わせているから、余計にそんなかんかくが強かった。

そして、見つめあっていると、その頬が緩み、形の良い薄い唇が優しく弧を描いた。


「夏空様は…本当に、その方のお言葉が絶対的に正しいと思いますか?」

「え、」


まさかそういう答えが返ってくると思ってなかったら、ちょっとびっくりした。


「現在の人口は大雑把に見積もって1億以上、かつ、世帯数は5千万以上存在しています。ご存知でしょう?」

「…う、うむ…?」


知らなかった。

…というか、難しい言葉がいっぱいで、意味なんて全くりかいできなかった。


「……今の、オレがわからないの知っててわざと聞いただろ」

「いいえ?夏空様があまりにも日下部様を盲信していらっしゃるようでしたので」


だからなんだ。
むかついたからってことか。


「正孝の言うこと、だから信じてるとか、…そういう、わけじゃない…けど、」


なんだか責められてる気がしてうつ向くと、…「申し訳ありません。…夏空様があまりにも可愛すぎて、少し意地悪をしてしまいました」と眉尻を下げたさっくんに頭を撫でられる。

オレもさっくんを疑ってるみたいなこと言ってごめん、って気持ちを込めてさっくんの首に抱きついた。仲直り。



「…せたいすー…」

「世帯というのは、俺と夏空様のように一緒に住んで生活をしている人達のことです」

「オレとさっくん…?」

「はい。俺と夏空様は2人で暮らしているので、2人で1つの世帯ということになります」


「?」が伝わったらしい。頭を撫でながら意味を教えてくれた。


「うむ!ふたりでひとつだな!」


なんとなくその言葉の響きが嬉しかったので、納得した、と頷く。


「…っ…嗚呼もう、貴方が可愛すぎて…」

「いちいち悶えるな!」


突然ぎゅうぎゅう抱き締められた。
がばっと離す。


「……話を戻しますね。世帯の数で考えれば俺達はその5千万以上あるお家の1つに過ぎません」

「…ふむ。確かに」


オレの理解に合わせて絵を描きながらゆっくり話してくれる。


「………む、」


…それにしてもごせんまん、ってどんくらいだ。すごいな。
prev next


[back][TOP]栞を挟む