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すき、すき、とただひたすらそう言いながら肚で咥え込んだペニスを内壁に擦りつけてヨガっている。
…と、不意にぎゅうっと首に回される両腕。



「っ、ゆ、…ぅ、さんがすき…全部、好き」

「……」

「おちつく、匂い、も、…っ、やな、こと、おわっら、後に、あたま、撫でて、くれる手も、…っ、しんじ、られな、ほど、きれー、な見た目、も、…っ、もっと、もっと、…ほか、のとこ、も…いっぱい、好き、…で、」


首筋に顔を埋め、涙声を零す。


「…じぶん、で、…っ、…させ、たくせに、…なきそうな顔、する、とこも、…っ、…全部、いた、い、くらい…すきで、…っ、…から、…ゆぅ、さん…じゃなきゃ、…っ、」

「…――ッ、」


ただ、イキたいためにした言葉なのかもしれない。
それでも、…「…本当に、流羽は馬鹿だな、」と目を伏せ、抱き締め返す。


「は、ぁ…っ、ん゛、ん゛、」


最初はゆっくりと、舌を絡めながら動く。
流羽も受け入れるように必死に舌を擦り合わせてくる。

すき、と何度も言葉にして泣きながら縋り、一生懸命に抱き付いてきて名前を呼ぶ。
お互いに汗ばんだ肌を重ねて、腰を動かすたびに嬉しそうに微笑んで涙を流しながら受け入れ、これ以上ないほどの想いを声に滲ませた。
卑猥な音を鳴らして腰を振れば流羽も結合部を近づけ、自ら内部を掻き混ぜるように振り、びくびく小さく震えながら唾液で濡れた舌を伸ばして俺を求める。

キス自体が交合のように熱を分けあい、流羽の呼吸ごとに締め付けたペニスへの扱き方を変える柔らかくて熱い内壁を擦る。
亀頭でヌルヌルとナカを刺激しながら奥まで掘り進め、そして腰を引けばトロトロに絡みついてくるナカに締め付けられながら出てくる。
腰を何度も引いては押し付ける感覚を少しずつ短くして、抜き差しを繰り返す。

キスしながら薄目を開ければ、流羽が快楽に耐えている姿が見える。
汗で濡れた黒髪が透明感のある肌にはりつき、頬は熱を帯びているように紅く染まっている。
ぎゅっと瞼を閉じ、口づけを深くすれば身を震わせ、腰を揺するたびに喉をのけぞらせながら上下に揺れる。


「ぅ゛、ん゛ぅ゛、ぅ゛、っ、は、ぐ、ぅ゛、うぁ゛あ゛、あ゛ぁ゛っ、ぁ゛ああ゛、!!」


段々と熱が入ってくると、ウエストを掴み、余裕なく更にけたたましい淫音を鳴らしながら腰を叩き付けた。

流羽の出す声が大きくなり、壊れ、部屋に響く。
結合部が熱くて溶けるかと思うほど激しくなったピストンの果てに流羽が何度イッても、しばらく止めることはできなかった。射精しても、まだ勃起は収まらなくて。自分の中で溢れそうになる不可思議な感情が性欲を駆り立てる。
一際キツくペニスが体内でぎゅーって締め付けられ、流羽が何度も身体を震わせる。
イッてる最中でも、自分本位に容赦なく腰を引き、突き上げ続けた。
数十回ほど受け入れる身体がイき続け、身を捩り…、その瞬間、最奥を押し潰しながら熱を放ち、呼吸を整える。


「…流羽…」

「ぁ゛、っ、ァ、…や、」

「好きだよ。るう」

「っ、」


少し時間が経ち、意識を取り戻してきた流羽の髪を撫でる。

感情を隠さずに耳の近くで囁けば、先程の行為によってマグマほど熱く蕩けているナカにぎゅうぅっと痛いほどペニスが絞られた。
俺の首に力のあまり入らない腕を回し、首筋に顔を埋めた流羽が、否定するように首を横に振る。


「…うそ、うそ、ら゛…っ、」

「好きじゃなかったら、こんな風に構ったりしない」

「…っ、」


昔から、誰にでも無関心な人間だった。
……一般的に何らかの感情はもつといわれる家族でさえも、それは例外じゃなかった。


「自分からキスしたのも、セックスしたいと思ったのも…流羽が初めてだよ」

「……ほん、と、…?」

「うん」


初めて伝えた思いに、流羽の目が見開かれる。
「ほんと゛に、うそじゃない…?」と子どもが確認するようにくしゃくしゃと泣いて、俺を見つめてくる瞳に、もう一度同じ言葉を返した。


――――――――――


「っ、ぎゅってして…、」


縋るように懇願してくる流羽の要求に応える。
…身体を重ねながらも、それでもと心の中で線を引いた。

(流羽がいつか俺から離れた時のために)

距離を置いておかないと、きっとその痛みに耐えられないだろうから。
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