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驚きに目を見開いた。


「慣れてるなんて嘘だろ。演技下手過ぎてばればれ」

「…嘘じゃ、ない」


そう言われれば、やっぱり素直じゃない俺はそういう風にしか言えなくて
そんな俺に唯人は「嘘つき」と可笑しそうに笑った。


「だからさ、もう一回」

「っ」


顎を指で掴まれて、唇を近づけられる。


「俺だけに見せる顔、見せてよ」


甘い言葉。
その甘い蜜に惹かれて虜になってしまえば、もう引き返せなくなる。


…でも好きなヤツにそんな風に言われて拒否なんてできるわけない。

それでも素直になんかなれなくて、せめてもの抵抗で睨み付ける様に見上げた。


「好きだよ」

「っ、」


たとえ嘘だとしても、その言葉に反射的に頬が熱くなる。

そんな俺に彼は満足そうに、蕩けるような笑みを浮かべて俺の唇を塞いだ。


【悪戯に彼は嘘を吐く】


嗚呼、彼には敵わない。
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