『ハルに犯され、全てを奪われた』(不良×平凡)

***

…人生で一番最悪な出来事。
今この場から逃れることができたら、どれほど楽になれるだろう。


「…っ、ぁ…ッ」

「アイツを助けたかったら、りっちゃんはちゃんと俺の言うこと聞かないと。なぁ?」

「…は、…っ!ん…ッ!んん゛…ッ」


部屋に響く厭らしい音。
ギシギシとベッドの軋む音。
M字に脚を開かされて、パンパンと激しく水音を立てて腰を打ち付けられる。
そのたびに、前でぶらぶら揺れる無理矢理勃起させられた性器をぐちゅぐちゅと上下に扱われた。
離された唇を名残惜しむように、唾液が糸を引く。
欲情しきった瞳で、耳元に熱い吐息を吹きかけられて、ゾクリと背筋が震えた。



「俺のこと、好きって言えよ」

「……ッ、!…いや、だ…っ」



吐き気がする。
相手のすべてを、存在を否定するように、かろうじて動く首を横に振る。
ハルはその整った眉をピクリと不快げに寄せて、無理矢理繋いだオレの左手に込める力をぎゅっと強めた。
汗ばんだ気持ちの悪い感触。



「んー、照れ屋なりっちゃんも可愛いけど、大事なコイビトには素直になってもいいんだぜ?」

「…っ、なに、言って」

「今日から俺達はそういう関係になるんだから、気持ちは示してもらわねぇとな」


”コイビト”

そんな身の毛もよだつ甘い台詞に、素直に従うものかと唇をぎゅっと噛み締めて反抗の意を示していると
彼はそんな俺に呆れたようにはぁとため息をつき、冷めた瞳で苛立ちを含んだ低い声音を吐いた。

短い単語。

「やれ」

『…、ぁ…っ、ぎゃあああ…ッ!!』

近くに転がっている携帯から、ボキリと何かが折れる音に一瞬遅れて何かが裂けるような叫び声が聞こえてきた。
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