宝石
ローズクォーツ
**が眠る真っ白な病室。彼女は全身の感覚が麻痺しているせいか式を挙げることは叶わず、ドレスを着せられたままベッドに横たわっている。
「ちか……?」
「すまないな、こんな形になってしまって」
手元には、宝石のついた指輪が入れられた小さな箱。彼女側からのそれはないため交換にはならないが、一つの形ある証明ができるのなら何でもよかった。
「いいの……だって、私……」
「そうだったな……わかってる、」
もうすぐ、**にはどうやっても追い払えなかった迎えが来てしまう。その前にと、自力では動かせない彼女の左手を取り、指輪をはめた。
「**、」
「……なぁに?」
唇へのそれが許されない代わりに、手の甲に口付けを落とす。
「愛してる――これからも、ずっと」
――君に贈る、最後の贈り物。
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