野薔薇異聞

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豹馬くんの家、服のかかっているクローゼット。いつも同じ場所のハンガーにかかっているロリータ服が、今はそこからなくなっている。
前からお揃いのロリータ服で絡み合うことにハマっている私達だけれど、元々は義姉さん――豹馬くんのお姉さんとのお出かけで彼女が着る予定だったロリータ服のサイズが合わず、それを代わりに着た彼とロリータ服デートしたのがきっかけだった。それからも、普段豹馬くんが着ているのは元々義姉さん用のもの――私の服とはデザインこそ同じであれど、色もサイズも違うものだ。だから、私の分がなくなっているということは、つまり。

「あれ、私の服は……ああ、来ちゃったんだね」

オメガである彼は、番いになって以降はフェロモンを放出こそしなくなったものの、今でもアルファである私に対して発情期を定期的に迎える。そしてその際、私の匂いに包まれたいからと本能的に私の衣類をベッドに持ち込み、くるまって私を待つ――いわゆる、巣作りをしているのだ。初めは私のものを着てもサイズが合わないのに何をやっているのかと驚いたものだけれど、今なら私の分の服がなくなっていればそれは巣作りをしている合図なのだとわかる。
高校時代は自分の実力を示したくて地元の強豪校に入った彼だけれど、県大会準々決勝の試合中に足を壊して入院した際にオメガであることが知れ渡ってしまい、元々彼をよく思っていなかったらしい先輩達には足を壊したのとオメガであるのとで小馬鹿にされたらしい。その後招聘されたブルーロックでは監督の絵心さんがその体質込みで招聘したらしく、足のケアをするのと同じ要領できちんとメディカルケアもしてくれたのだとか。私はというと元々違う大学に通っている以上大学や彼のバイト先での手助けはブルーロックのスタッフのように細やかにはしてあげられないのがなんとも歯痒いものの、大学生になってからはせめてヒート期間中だけでも彼の家に泊まることにしている。ゆくゆくは同居して彼の面倒を見ることになるのだろうけれど、それは義姉さんとも相談してから決めよう。

「入るよ、豹馬くん」

フリルと、レースと、リボンの花園。その言葉は豹馬くんの家、彼が寝ているベッドにこそふさわしい。
彼の家に預けているのは私の服やキャノティエなどまだまだ少ないもので、ついこの間買った2着目は試着だけして現在は絶賛クリーニング中だ。あの量の服ではすかすかな巣しか作らせてあげられないけれど、とりあえず私の分のロリータ服は返してもらうことにしよう。そうでなければ、彼が望むお揃いはできない。

「豹馬くんったら……巣作り、してるの?」
「……ああ、ごめんな、」
「それ、返してくれないと私とお揃いはできないよ?代わりに今着てる服嗅いでていいから、ね?」

着ていた服とブラジャーを脱ぎ、お揃いのブラウスとジャンパースカートを着て、ショーツも下ろして。普段のロリータ服を着た絡み合いでは自分からブラジャーを脱ぐことすらないけれど、ヒートのときは巣作りの助けになるようにできるだけ下着もこちらから脱ぐようにしている。豹馬くんも私が言いたいことを察したようで、少しだけ名残惜しそうな顔をしつつも私の服を渡してくれた。直後に私の着ていた服と下着を受け取ってからと言うもの、本能に抗えずすぐにその匂いを嗅ぎ出すところも本当に可愛い。
――ああ、可愛い。私だけの、ワガママお嬢。
豹馬くんは私にそう言われるたびに「お嬢って言うな」だの「男だっつーの」だのと反発するけれど、元々女顔でありしかも今は女装しているとあれば説得力などあるはずもなく、ただただ私のお姫様として可愛がられるしかないのだ。ロリータ服を買う資金を集めるためにやっている配信での名前を今ここで呼んであげてもいいのだが、画面に映ってないときにそれで呼ぶと豹馬くんが不機嫌がるのでやめている。

「……勃ってる、**の、」
「ふふ、豹馬くんが可愛くって。豹馬くんの後ろに挿れたいなって思ってたら、こんなに大きくなっちゃったみたい」
「俺、男なのに……っ、」
「そんなこと言ったってだーめ。……ほら、鏡見てしよ?ちゃんと女の子みたいな顔の豹馬くん、見たいな」

ベッドの前の姿見に映るように、一度四つん這いになってもらう。それからすっかり肥大してしまった陰核にゴムを纏わせ、後ろ向きのままジャンパースカートの裾を捲り上げて彼のショーツを下ろし――その後ろに、陰核の先端を押し当てた。
あとは豹馬くんが私の膝の上に乗ってくれれば、そのまま挿入できる体勢だ。いわゆる背面座位という体位で交わることになるのだけれど、この体勢なら豹馬くんの前も後ろも見放題なわけで。

「う、あ、これ、恥ずいんだけど……っ♡」
「でも、興奮するでしょ?」
「そ、だけど……っ♡あっ、ま、**っ……!まだ、動かないでくれ……っ!♡」
「どうして?気持ちよさそうだし、もっと奥まで突いてあげたいなあ……♡」

いつものように豹馬くんのお尻の穴に私のものを埋め込みながら、耳元に囁いた。私の背が彼より低いせいか囁くのは少しきついけれど、それでも鏡越しなら彼の顔がしっかり見えるのだしこの姿勢で正解だ。
女物のロリータ服姿で、大学やバイトじゃ見られないような雌の顔を晒している――私だけが見ることを許された、彼の一番可愛い姿。それとは少しアンバランスなくらいに鍛えられた筋肉や勃ち上がった彼のものが、女装した男性の後孔に女性が挿入するこの行為が倒錯的なものであることを如実に示していて、それがまた癖になってしまう。

「こっちも勃っちゃってるもんね。触ってほしいんでしょ?」
「ぁ……っ、く♡」
「よかったね、ここだけはちゃーんと男だもんね?」

今豹馬くんのナカに入っている私の陰核と同じくらいに膨らんだ彼のものは、スカートの布地を持ち上げるようにして主張していた。
ここだけはちゃんと彼の言う通り男らしくて、女装した姿に見合わないようなそれがまた愛おしくて。その先端の割れ目を爪で引っ掻いたり、裏筋を指でなぞったり、手を添えて上下に擦ったりと刺激を与えてやれば、あっという間にドライオーガズムに達してしまったらしく――精巣を欠いたそこからは白濁こそ吐き出されたりはしないものの、鏡越しに蕩けた顔を晒す彼が絶頂しているのは明白だった。
こんなに可愛く鳴いてくれるなら、この間彼の買ってくれたお揃いの猫モチーフのヘッドドレスもチョーカーも彼にだけつけてもよかった気がしてしまうけれど、あいにく未着用のそれらは巣の素材になることもなく未だにしまわれている。それに私が彼の後孔に挿入している以上は尻尾つきのアナルプラグはつけられず、どちらにしても中途半端に終わってしまうから、結局は今のままで充分なのだろう。

「っ、ふ……っ、やべ、やばいって……っ♡」
「ふふ、気持ちいいね豹馬くん……♡私も、気持ちいよ……♡」

私の手でイったばかりだというのに、豹馬くんの後ろは私のものをぎゅっと締め付けて離れようとしなかった。それどころか早く動いてほしいと言わんばかりに腰を動かしてくるものだから、可愛くて仕方がない。
彼の好きな黒猫のように気紛れで、それでいて快楽には貪欲で――そんなところも全部含めて可愛らしい、私だけのお姫様。赤豹とあだ名されていた頃を知っている地元の人々が今の彼を見たらどう思うかは少し気になるけれど、それでも私以外の誰かにこの顔を見せてあげる気はさらさらない。
ああ、なんて可愛らしいのだろう。
運命の番とは、私にとっての豹馬くんのことを言うのかもしれない。

「豹馬くん、好き、好きだよ……っ♡私の、ひょーまくん……♡」
「っ、おま、えっ、激しすぎだって……っ!♡」
「ごめん、ひょーまくん……♡止まれないの……♡」
「あ、あ……っ♡**っ……!♡」

私のものを受け入れて乱れる豹馬くんに腕を回し、後ろからぎゅっと抱きしめる。そうすると密着度が増してさらに奥まで入り込んでしまいそうな気がして、本能的に逃げようとする豹馬くんの動きすら封じてしまうようになってしまった。そうすれば必然的に私のものを根元まで深く飲み込む形になり、やがて豹馬くんはびくんと身体を大きく跳ねさせた。
豹馬くんのナカはもうすっかり私のカタチを覚えていて、こうして抱き寄せただけですぐに受け入れてくれるようになったのだ。

「ぁ、あ……ッ♡**、やば、もう、出る……っ♡」
「ふふ、豹馬くん可愛い……♡私も出ちゃうから、一緒に出そうね……♡」

豹馬くんの身体が小刻みに震えたのとほぼ同時に、私は自分の陰核が彼の腸壁に擦れるようにぐりぐりと押し付けながら射精した。
どくんどくんと脈打ちながら大量の精子を注ぎ込み、それと同時に豹馬くんのそれもどろどろと透明な液を吐き出す。もし私がスカートの裾を捲り上げていなければ、ベッドのシーツどころかスカートの布地にまで染みを作りそうな勢いだった。

「は、ぁ……っ♡豹馬くん、いっぱい出たね……♡」
「……っ、言うなって♡」
「よしよし、疲れちゃったでしょ?じゃあ、お風呂入ろっか」

やがてもう一度四つん這いの姿勢に戻し、ゆっくりと私のものを引き抜く。その際にもまだ足りないと言うかのように吸いついてくる後孔が愛おしくて――このまま第2ラウンドに突入したくなるけれど、元々スタミナに少し不安を残す豹馬くんをこれ以上無理させるわけにはいかない。
このまま彼を風呂に入れるため、とりあえずは彼の服だけ脱がせて風呂場に連れて行くことにした。脱いでそのままだった彼と私の下着は、あとでまとめて洗うことにしよう。

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晴天のじゃじゃ馬