最初にやってきた甘えん坊をクゥちゃん、クゥちゃんにちょっと怒っている子をルゥちゃん、仲裁に入っている子をスゥちゃんと名付け、撫で回している。
まさに、使いふるされた表現だけどぬいぐるみのようで愛くるしい。
「お待ちしておりました。魔王様」
子犬達と戯れているところに、黒い影が目の端に見えたので顔を上げれば、執事のような出で立ちの男が頭を下げていた。
男は、子犬の首根っこを掴むと、無造作に放り投げた。
「…な!?」
「ケルベロスなどに構わず、私を見てください」
動物虐待じゃないかとこの男はなんなんだ!と驚いている間もなく、カーペットに押し倒されていた。そっと顎に指を添えて紫の瞳が射抜いてくる。さすがは夢の中、美男美女しか出ないように補正されているんだなぁと、まじまじと眺めた。
「よし、今すぐ結婚しよ「させるかぁ!!」
男が言いきる前に爆発音と共に、男が私から引き剥がされて胸ぐらを掴まれていた。
ぜぇはぁと息を乱して胸ぐらを掴んでいるのは、あの黒騎士エルフだ。
「この色ボケ悪魔が!」
「はぁ…リビアン…邪魔をするな」
「_星狼王@せいろうおう_様と…け、結婚だなんて!」
エルフは私を背に庇うようにして、男を突き飛ばす。男はジャケットの袖を払い、歪んだクロスタイを直しつつ、溜め息を漏らした。
って、これ…スタファン?
『星狼王』と『リビアン』という単語に、昔ハマってた声なしポリゴンのゲーム画面の記憶がよみがえる。
『スターファンタジア』
物語の主人公は、セレスタイン王国の姫騎士ローズ・ライト・セレスタイン。父国王の命を受けて、魔王討伐の旅が始まる。
各地を巡り仲間を得て、湖の乙女からエクスソードを貰い、魔王城にて魔王星狼王をエクスソードで再度封印、討伐するまでがエンディング。
『リビアン・グラス』
ローズが城を旅立つ時に護衛騎士として仲間になっていた初期パーティーメンバー。そして、終盤のイベントで魔王城を囲ってる森の番人だったことが分かるんだけど、まさかの魔王城住み込みしてるとは?!
というか、私は剣で生きたまま串刺しにされる未来が確定なわけだ。
えっ待って、そんな中途半端な倒され方嫌すぎる。
早く、夢から覚めて私!!