5 傷付いてないよ
「あっ、あっ、ぁ……ぶん、たぁっ……」
「はぁっ……っ」
「もっと、ふあっ……」
「!……ああもう」
「ひあぁぁっ……」
彼をより煽る様に、桜華は貪欲に欲する。
それに応えるかのようにブン太は彼女の中を自身で満たす。
いちいち可愛らしく反応するのがまた可愛くて、彼の腰の動きは止まらない。
「桜華っ、桜華っ……はっ」
「も、もうっ……ぁっ、いっちゃうっ……」
「俺も、やばいかもっ……」
「あっ、んっ……ぶんたっ……」
「イこっ……桜華……っ」
ブン太は彼女の限界と自分の限界が同時に来ている事に喜びを感じ、昇り詰めるためぐっとより彼女の中を刺激する。
本当に限界なのか、彼の身体に足を絡め離れないでと言わんばかりの桜華。
それにあり得ない程の興奮を感じたブン太は、彼女をしっかりと抱き締め今までで一番激しく突いた。
「ああっぁっ、ぶんたっ……」
「桜華、っ……はっ、はっ……っ」
「あ、いく、はぁっ……ぁぁっ」
「んっ……いいよっ……俺もっ……」
「ああっ……あぁんっ……」
「っ………――」
はあはあと荒い息遣いの二人。
快楽が満たされ、どこか幸せそうな表情を湛えている。
ブン太は出し切る様に少しだけ腰を動かすと、その後ゆっくりと中から性器を抜いた。
それにさえ小さく喘いで感じている桜華に、彼自身再び反応してしまいそうになる。
もっとも、一度では足りる訳もなく……まだ元気なのであるが。
「桜華……」
「ん……?」
「すっげー気持ち良かった……」
「えへへ、私もお……ブン太上手だったねえ」
「まじ?初めてだったんだけど……」
「えっちも天才的なのかなあ?」
「!(本当今更の今更だけど、やっぱり桜華変だな……!)」
へらっと笑いながらそう言った彼女に、やはりおかしさを感じざるを得ない。
ブン太はそれでも初めてのセックスを大好きな桜華に褒められた事が嬉しくて照れた様に頭を掻いた。
そこに、タイミングを見計らったかの様に幸村が声をかける。
「桜華、そんなによかったの?」
「うん……ブン太ね、上手だったよ」
「そっか……それは俺と比べてって事?」
「違うよ、二人とも上手……精市は精市だよ……?」
「ん、よかった……俺じゃもう桜華を満足させられないのかもって心配になっちゃった」
「精市……」
少し寂しそうに桜華を見る幸村。
彼女はそんな彼が可愛く思えて、少し起き上がってぎゅっと抱き締めた。
幸村もそっと腕を回すと、「ありがとう桜華」と小さく呟いた。
「なあ、二人とも……」
「ブン太……?」
「俺、本当によかったの……?」
「?」
唐突なブン太の問いかけに、彼女は首を傾げた。
さっきまで幸せそうな表情を湛えていたと言うのに。
幸村は何処か分かった様な顔をして彼を見ている。
「その、桜華とセックスして……いや、もう終わったのに何言ってんだって感じだけど、二人の事傷付けてないかなって……」
「……ブン太は優しいね?ずっと前から知ってたけど」
「桜華……」
「ふふふ、大丈夫だよ……今日ね、ブン太とえっち出来て嬉しかったんだあ」
「本当?」
「うん、本当……嘘はつかないよ」
「あー、そうだよな。……ありがとう」
彼女からの言葉にほっとするブン太。
次に彼に話しかけたのは幸村だ。
「ねえブン太、俺も傷付いてなんかいないよ」
「幸村君も……?」
「新たな桜華も見られた気がするし……うーん、何て言うかな。とりあえず、俺もいいよって言った訳だし、今更それをどうこう言わないよ。桜華も満足したみたいだし?」
「ははっ、流石幸村君」
「一応褒められてると思っておくよ」
「うん、すっげー褒めてる!」
いつもの様に、にかっと笑うブン太。
つられて二人も小さく微笑む。
一気に場の空気が和んだ。
……はずだった。
「……何だ、この状況は」
そこに来訪者一人が現れるまでは。
あとがき
次で最後かと思われます。
どうぞお付き合いくださいませ。