恋してる?



「おはよう、湊ちゃん」
『おはようございます、凛さん』

朝部室に顔を出すと、女子寮に住んでいる凛が既に居た。

『早いですね』
「皆朝から練習するからこの時間からドリンク作らなきゃ間に合わなくて」
『私もやります』
「助かるー!湊ちゃんはマネージャー続けてくれそうだよね」
『え?そのつもりですが』
「いや、ね。もう退部届け出した子がいて」
『ああ、そういうことですか』
「湊ちゃんはロードが好きだから、初めて会った時からマネージャーを続けそうな子が入部してくれて嬉しいなって思ってたの」
『ロード、だけじゃないですけどね』
「あら?もしかして恋バナ!?」
『い、今のは聞かなかったことにしてください!』
「良いじゃない!私恋バナも好きよ!」
『えっいや、そのっ』
「私は自転車が好きだけど、それだけじゃなくて、彼が1番になれるようにサポート頑張らなきゃって思ってマネージャー続けてるもの」
『凛さん、もしかして自転車競技部に彼氏いらっしゃるんですか?』
「彼氏ではないよ、好きな人。みんなには内緒ね」
『分かりました』
「それで?湊ちゃんの好きな人は誰?」
『えっ!?そこに戻るんですか』
「もちろん!気になるじゃない!」
『自転車競技部の人です』
「ええ!誰々!?」
『…先輩の好きな人は?』
「言ったら教えてくれるの?」
『はい』
「なァに、2人とも朝から楽しそうじゃナァイ」
「『荒北先輩!?(靖友!?)』」
「おはよう、おめさんたち」
「隼人まで!」
『おはようございます』

三本ローラーをこなし終えた荒北と新開は楽しそうに話しながらドリンクの用意をしているマネージャー2人に声をかけた。
荒北の顔がニヤニヤしてる事から話の内容を聞かれた事が予想できた。

「寿一は1位になるよ」
「オレが福チャンを1番に届けるからなァ」
「もう!隼人と靖友!」
『福富先輩ですか』
「こいつも福チャンもわかりやすいっての」
「靖友はこれでも飲んで黙っててー!!」
「ブハッ」
『新開さんも、ドリンクどうぞ』
「ああ、ありがとな」

そうこうしているうちに、三本ローラーを終えた先輩達が次々にドリンクを受け取りにやってきた。

『東堂先輩お疲れ様です。ドリンクどうぞ』
「ああ、ありがとう」
『あの、先輩』
「ん、なんだね?」
『今度のオフの日、予定空いてませんか』
「えっ」
「「「えええ!?(はあああ!?)」」」
「おめー、まさか」
「尽八とはな」
『え?荒北先輩?新開先輩?』
「ハーハッハッ!キミ、わかってるじゃないか!天はオレに三物を与えたからな!」
「うるせえ!」
『箱根学園のエースクライマーの走りを見たくて、ご一緒させていただきたかったんですが』
「ああ、なんだそういうことか」
「ハッ!残念だったな東堂!」
「うるさいのだよ!荒北!」

今日の朝練はいつも以上に部室が賑やかだった。
凛の好きな人が箱根学園キャプテンの福富さんということを知った湊は今後は二人が話してるところを見かけると、思わず頬を緩めて見守っている回数が増えたのだった。
そして荒北にそんな緩んだ表情を見られて、まぬけチャァンと呼ばれるのであった。


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