朝の日課
湊の朝は早い。
朝5:00に目を覚まし、部屋の窓を開ける。
『今日、いい天気だね』
そう呟くと運動出来る服装に着替えた。
そして顔を洗い、軽く何かを食べて、歯を磨き、髪を整えた。
準備をしてるうちに5:30になる。
すると机に置いてた携帯がブッブッとバイブ音がなる。
『おはよう、山岳』
「湊ちゃんおはよー、山に行こう!」
『うん、家出るね』
ウェストバッグをパチンと音を鳴らして身につけ、黒のキャップを深めにかぶった。
そして玄関のドアをあげると、家の入口前で山岳がロードに跨ってこちらを見ていた。
『おはよう、山岳』
「うん、おはよう、湊ちゃん」
『行こっか』
天気が良い日は結構な頻度でこうして山岳から連絡が来る。
普段携帯なんて見ない山岳だが、朝の呼び出しの時だけは携帯で電話をかけてくるのだ。
と言うのも、以前湊が、家に迎えに来るのはいいけど、朝早いし親が起きるからチャイムは鳴らさないでと伝えていたからだ。
湊と山岳は時々会話をしつつ山頂を目指す。
山頂に着く頃には汗だくになった湊はよく地面に大の字に寝転んでいた。
しかしまだ春の季節。
しばらくすると体が冷えてしまう。
体が冷えきらないうちに湊は立ち上がり大きく伸びをした。
「随分気持ちよさそうだね」
『うん、朝ここに来ると最高だよね』
「そうだね」
『自由に走ってる山岳も見れるし』
「え?」
『私は自由気ままな山岳の走りが好きだよ』
「湊ちゃん」
『いつか山頂のリザルト、取ってね』
「湊ちゃんが応援してくれるなら、取るよ」
帰り道、前を走っていた山岳はロードに跨ったまま、湊が追いつくのを待っていた。
「湊ちゃん、オレもう1回山登ってくるね」
『うん、私は帰って支度して学校いくね』
そして湊は前を向き、ペダルを踏み込もうとした時、山岳から名前を呼ばれた。
「オレも好きだよ」
『え』
「湊ちゃんの走り!」
『あ、うん、走りね。ありがとう』
湊は山岳に向けて笑ったあと、前を向き、ペダルを踏み込んだ。
山岳の言葉や言動は時々心臓に悪い。
『(顔が熱い…)』
だけど、走りのことだとしても、山岳の好きの枠組みに入れられてる事が嬉しかった。