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 昨日で何度イかされたのか分からない。隣で俺を抱きしめながら、聡は気持ちよさそうに寝息を立てている。何度やめてと懇願しても、場所を変え体位を変え、様々に攻められ、後半はほとんど記憶が飛んでいる。
 辺りを見ると、俺のベッドのシーツは乱れ、ティッシュがあちこちに散乱している。まだ俺に恥ずかしいなんて感情があるのは驚きだが、一刻も早くこの場を離れたくなって、聡の腕から抜け出し、ベッドから降りようとすると、足に力が入らずにすとんと座り込んでしまった。腰がずきずきと痛み、昨夜の激しさを物語る。
「…何してんだよ」
 物音で起きたのか、聡はぼそりと呟いて、俺を再びベッドに引き上げる。その拍子に二段ベッドの上段で頭をぶつけてしまい、痛みに悶絶する。
「痛ってぇ…」
「どんくせぇな」
 聡は後ろから俺を抱きかかえて、再び眠りに入ろうとする。今日は起き上がれそうもないから、諦めて俺の二度寝に入ろうと目を閉じかけたが、尻に当たる固い感触に眼が覚めた。
「…おい」
 嘘だろ、昨日散々したというのに。
「突っ込んだりしねぇから。兄貴も腰つらいだろうし」
 そう言って己のモノを扱き出す弟には、呆れるしかない。嫌でも聞こえてくる濡れた音に、耳を塞ぎたくなる。逃れようとも、聡の腕はがっちりと俺を掴んでいる。
 俺は軽くため息を吐き、何気なしに枕元にあった聡のスマホを手に取る。電源を点けてロック画面を開く。部屋に響く濡れた音にうんざりしながらも、自分の誕生日を入力してみる。
「…開いた」
 兄貴の誕生日をパスワードにする弟なんて、この世にこいつぐらいしかいないだろう。なんて呆れていると、次の瞬間目に飛び行ってきた光景に眼を瞠った。
「なんだよこれ…」
 画面には写真のアルバムが既に展開されており、そこには聡のモノを咥え込んだ俺の局部が画面いっぱいに映っていた。スライドさせると、次々に俺の写真が出てくる。テレビを見ている俺、街を歩く俺など、様々な日常の写真や、俺の寝ている間に身体を弄っている時など、いつ撮ったのか分からないものまである。すぐさま消去しようとすると、聡の手が伸びてきて取り上げられた。
「おい!何だよそれ、消せよ!」
 普段から俺の写真をちょくちょく撮っているなとは思っていたが、ここまでだったとはもはや狂気に感じる。
「嫌だよ」
「消せって!」
 聡は必死に取り返そうとする俺を軽くあしらう。
「ここから消去しても無駄だよ。ちゃんと別のところにバックアップ取ってるから」
 呆れて物も言えない。こうなってくると、どうあがいても無駄だろう。早々に諦めた俺は、深くため息を吐いて枕に顔を埋める。
「勝手にしろよ」
 ここまでされても弟を憎みきれない俺は、相当聡に毒されてしまっている。


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