05

「なんで俺がいつも下なんだよ」江波は谷端と何度もセックスしているうちに溜まった不満をこぼす。
 二人は江波のベッドに裸で寝転がっている。いつものごとく、ベッドは汗と精液でべとべとだ。
「いやなの? 毎回感じてるくせに」と谷端は意地悪く言う。
「嫌に決まってる。ちっとも俺の練習になってないんだから。そろそろ俺が上になったっていいだろ」
「じゃあ聞くけど、江波は俺に突っ込みたいの?」
「それは……」江波は思わず黙ってしまう。谷端が喘いでいる姿を想像してみたものの、あまり気持ちのいい画ではない。
 谷端は江波の頭を抱きかかえるように胸に引き寄せる。「……ねぇ江波、俺と付き合ってよ」
「え……?」急な告白に驚く。
「だめ? まだ光木さんのこと好きなの?」
「好きっていうか……、正直お前との練習でいっぱいいっぱいで、光木さんのこと考える時間がなくなってて…」
「それって、光木さんのこともう好きじゃないってことでしょ。だったら俺と付き合ってよ。セックスまでしてるのに付き合ってないなんておかしいだろ?」
「でも、セックスは練習でしてただけで――」
「まだそんな風に思ってるの? こんなの練習になってないよ」
 江波は谷端の言葉に目をぱちくりさせる。「でも、人に慣れるための練習だってお前が――」
「そんなのただの口実だよ。江波が光木さんのこと好きなことを知って、俺が勝手に嫉妬しただけ。だから、強引なやり方をしてでも江波を俺のものにしたかった。……卑怯な真似してごめん。ねぇ江波、お願いだから俺と付き合ってよ。ここまで身体を許してくれてるのに、駄目なんて言わないで」と谷端は消え入りそうな声で言う。
 江波は自分のことでこんなにもしおらしくなってしまう谷端を見て、胸の奥がきゅうっとなる。本当は江波も谷端と身体を重ねるうちに、自分の気持ちに気付いていた。
 江波は谷端の背に手をまわし、「…いいよ」と言う。
「…本当に?」谷端がぱっと顔を上げ、二人の視線が交錯する。
「練習が嘘だったのは騙されたみたいで悔しいけど、とっくに俺も谷端のことが好きになってるから」
「江波…、ありがとう」谷端の目に涙が滲む。
「全部お前のせいだからな」そう言って、江波は唇で谷端の涙を拭った。
「うん、一生かけて責任取る。……だから、もう一回しよ?」そう言って谷端は江波に覆いかぶさり、唇を重ねる。谷端の股間はいつの間にかもうすっかり元気になっている。
「おい、調子に乗るな! 今日はもう無理だって! 散々やったろうが」
「いやだ、もう一回だけ」
 谷端は暴れる江波を押さえつけ、先ほどまで散々挿入れて柔らかいままになっている江波の後ろにペニスをぐっと挿入する。
「……ぁ、…もう、谷端…! いい加減にしろ…ッ、…んぁ、…あ、…ぁ」
「江波、俺めちゃくちゃ嬉しい。…ずっとこうしていたくらいだよ」
「…やめろ、ってば…ぁ、あ…、ん…、あぁ…っ」
 谷端に触れられると、すぐにぐずぐずにとろけてしまう。江波は谷端の気が済むまで精子を搾り取られた。


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