04

 それから数週間後、二人は江波のベッドの上に座り、ほとんど裸の状態で抱き合っていた。キスを重ねながら、お互いを慰め合う。江波は谷端に触れるこの時間が、とてつもなく好きになっていた。
 最初は江波が光木さんと仲良くなるために始めた練習だったのに、今の江波の頭の中は谷端のことでいっぱいだ。光木さんの存在は、頭の片隅に微かに残っている程度になってしまった。
 お互いに一度射精し、気だるい余韻を感じながらキスを終えると、おもむろに谷端が江波をベッドに押し倒した。
 谷端は江波の乳首を指で転がし、もう一方の乳首を口に含む。舌先でつつかれ、吸われ、そこはみるみるうちにピンク色にぷっくりと膨れ上がっていく。
「谷端……っ、んぁ……、ぁ…」そこはすっかり敏感だ。
 乱れる江波を見て谷端はその目に熱を宿らせ、精液の付いた手で江波の尻の奥まった部分に触れる。
「おい、どこ触ってるんだよ」と江波が慌てて言う。
「これも練習だよ。こんなにキスがうまいのに、セックスが下手くそだったらおかしいだろ」
「だったら、俺が上になる。俺の練習なんだから、下だと練習にならない」
「江波が上になっても、どうすればいいか分からないだろ。教えてあげるから、最初は俺にさせて」
「………」江波は言い返す言葉もなく、押し黙ってしまう。
「じゃあ、決まりだね」谷端はそう言うと、自分の唾液で濡らした指を一本、江波の後ろにぷつりと挿入する。
「おい、まだいいって言ってないだろ…!」と江波は抗議するが、谷端は聞く耳を持たない。 谷端の指がゆっくりと内壁をさする。江波は自分でも触れたことのない部分に触れられ、異物感を感じる。
「痛かったら言ってね」谷端はそう言うと、江波の唇にキスをする。すると江波の意識は自然とキスへと集中する。くちゅくちゅとお互いの唾液が混ざり合い、谷端の舌が江波の歯列をなぞる。徐々に後ろを拡げられ、いつしか指は二本に増え、江波の胎内でばらばらと指が動く。
「―――あぁッ…!」江波が急に上ずった声をあげた。
 谷端は意地悪そうに口角を上げ「……ここがいいの?」と言って、江波の中のある一点を執拗にさする。そこに刺激を与えるたびに、江波の腰が跳ねて嬌声をこぼす。
「そこ、やめろよ…っ」と江波は言うが、股間は腹に着くほどに首をもたげながら我慢汁を零している。
 谷端はさらに攻めて、江波をぐずぐずにとろけさせていく。
「谷端、もういやだ…っ」江波は泣きながら身体をくねらせる。
「指だけでこんなになって、本当にかわいい…。もう挿入れるね」そう言って谷端は江波の後ろに自身の屹立をあてがう。谷端がぐっと腰を進めて江波を貫いた瞬間、江波の股間から勢いよく精液が飛び出す。
「―――あぁぁっ…!」精液が江波の腹に飛び散る。
「江波、江波…っ」谷端は一心不乱に腰を江波に打ちつける。
「…あ、…んぁ、待って、激しい…っ、あ、…あぁ…っ」射精したばかりの敏感な身体に絶え間なく快感が襲ってきて、江波は身を震わす。
 谷端は散々腰を振ってから、江波の中に精液を注ぎ込む。それでも谷端のペニスは萎えることがなく、すぐに硬さを取り戻す。
「…ぁ、なんで、もうおっきくなってる…っ」江波は腰を引こうとするが、谷端にがっしりと腰を掴まれている。
「もう一回、しよ」谷端はそう言うと、江波が息をつく間もなく律動を再開する。
 中に出された精液が掻き混ぜられ、ぐちゅぐちゅと濡れた音が卑猥に響く。
「…ぁ、…もう、やだ…っ、…あぁ」
 江波は谷端が満足するまで翻弄されるしかなかった。

 やっと行為から解放され、ぐったりとベッドに横になる江波の後ろから谷端が抱きつく。
「気持ちよかった?」と谷端が嬉しそうに聞く。
「……絶倫すぎだろ」江波は精力を搾り取られ、腰も痛む。もう何度射精したのか分からない。ベッドは汗と精液でべとべとだ。
「お前、女の子ともこんな何回もしてたのか? さすがに嫌がられるだろ」と江波が聞くと、谷端はけろりとした顔で「え、俺今日がはじめてだよ?」と言う。
「……は?」江波は耳を疑う。
「だから、セックスしたのは今日が初めて」
 江波はバッと振り返る。「は!? どういうことだよ。じゃあ、今まで俺のこと童貞だって馬鹿にしてたのはなんだったんだよ!」
「え? 馬鹿にしたことなんかないよ」
「してただろうが!」谷端の胸を拳で叩くが、谷端は楽しそうに「ハハハ」と笑う。
「というか、童貞だったなら俺が下になる必要なかったじゃないか!」江波はカンカンに怒ってじたばたと暴れる。
「でも、気持ちよかったでしょ?」
「……っ、…そ、それは」
「気持ちよかったんでしょ。だって、あんなに喘いでたんだから」
「……ッ、お前…っ」
 自分の醜態を思い出して顔を真っ赤にする江波の頭を、谷端はぽんぽんと撫でる。江波は腹いせに、谷端の腹に一発拳を入れた。


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