カーテンの隙間から洩れた朝日に照らされて、目を覚ます。ケータイを見ると、時刻は8時12分。よく寝たなあと思いながらベッドを抜け出し、キッチンへ向かう。温かい飲み物が飲みたい。
 お湯を沸かしている間、トイレに行って戻ると、さっきまでわたしの隣で寝ていた彼も起き出してきた。

「おう」
「おはよ、早いね」
 
 わたしは、シンクの水切り場に置いてあった彼と自分のマグカップに、ココアを入れる。こんな強面の彼が甘い飲み物が好きだなんて、初めて知ったときは何回か話のネタにして面白がったけど、今はそんな意外な一面を持つ彼が愛おしい。
 しばらくして、沸いたお湯をカップに注ぐと、漂う、ココアの甘くて童心に返るような香り。

「……ふぅ、あったけー」
「美味しいね」
「ホイップクリームがあればもっと最高だけどな」
「マジで?」

 平日の少し忙しい空気を纏っているのが嘘みたいな、今日は、静かな休日の朝のダイニング。そこで、中々休みが合わない彼とのんびりココアを飲んでいる。いいなあ、この時間、この空間。ずっと続けばいいのに。

「なまえ、今日どこ行く」
「どうしよっかー」

 何となくテレビを点けて、今日の予定を二人で考える。あなたと一緒なら何処でもいいよ、なんて言ったらきっと怒るから、ココアを飲み干すまでに決めようと思った、そんな非日常な朝。





2017-01-22


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