夢日記

2023年初夢(寝る時に見る方)イグニハイド夢でした〜コツは眠くなるギリギリまでアプリしたり夢小説を読むことです。(睡眠にはよくないのでやめたほうがいいです)刀持ってるのは絶対BLEACH無料公開マラソンしてるせいです。


予算はいつも足りないものだということはまず前提として、使い切らないと翌年の額が減らされてしまうのも世の常であった。かくして、今年度イグニハイド寮はレクリエーション費の支出先に科学博物館での遠足を選択した。ツイステットワンダーランド内でも屈指の規模を誇り、寮生の好奇心と探究心を満たすには十分な施設である。入り口で集合時間を再確認すれば、時間まで自由行動で良い、というのも引率するイデアにとってありがたい。時間まで興味のあるエリアを覗いて、早めに集合場所に戻ろう。そう思っていたはずが、イデアは絶滅した古代生物相手に奮闘する羽目になっていた。


静かなBGMと寮生の囁き声だけに満ちていた「世界のはじまり」エリアは、突如衝撃に襲われた。

大きな音と共に地鳴りのような衝撃があり、分厚い液晶にヒビを入れた。映像の演出などではなく物理的にヒビが入ったと認識したその瞬間、イデアは寮生に撤退指示を出すより先に防衛魔法を放った。ついさっきまで静謐を保っていた画面は勢いよく砕け散り、防衛魔法の壁にぶつかって地に落ちた。イデアの撤退指示を受けて、寮生も防衛魔法をその身に纏わせて、「世界のはじまり」エリアから撤退する。

もう何も映さない液晶画面にあいた暗闇から怪獣の牙が覗く。その姿にイデアは「嘘だろ」と目を剥いた。

フロアをぐるっと取り囲む巨大な液晶画面には、先ほどまでモササウルスの巨体がのんびりと泳ぐ映像が映し出されていた。先史において最強と呼ばれ恐竜もサメも丸呑みにしたというその姿は、イグニハイド生達の好奇心をくすぐった。

名前をいつも驚嘆させるツイステッドワンダーランドの技術をもってしても絶滅生物の復元には未だ至っておらず、それは研究者による「想像」上の姿であったはずだ。共に足を踏み入れた名前などは「わあ、これハリウッドじゃないと見れないんですよ。早く大阪にもリニューアル来ないかなあ!」と目を輝かせていたのだから、彼女の生まれ育った世界でもそうだったのは確かだ。

絶滅したはずのモササウルスがその身を映し出していた液晶画面を、否、自らを閉じ込める水槽のガラスを、割って飛び出してこようとしている。魔法でしかありえないが、高度な技術を必要とするのは誰よりもイデアが理解していた。幻惑魔法の痕跡すら感じられない。つまり、これはただの液晶画面で、1分前にはモササウルスどころか水槽に満たされた水すら存在しなかった。存在しないはずの水が、嘲笑うように勢いよく溢れ出した。

「退避退避ーー!」
フロアの外まで阿鼻叫喚の騒ぎだ。一体何が起きているんだ。オルトは、ここの職員はどこだ。名前が振り返って「寮長!魔法行使許可を!」と叫ぶ。その手にはすでに長剣があり、イデアは顔を顰めた。学外での魔法行使、それも戦闘行為のためとなるとその条件はかなり厳しい。せめて許可出てから剣召喚してよ、ぼやく間も無く名前が叫ぶ。

「寮長、早く!!」
「巨大不明生物との交戦許可ならまだ出ないってば!」
「ちがう、オルトが!もうビーム秒読み!」
オルト?オルトは確か隣にある「東方地域の成り立ち」エリアを見に行ったはずだ。イデアは名前を置き去りに駆け出した。中2階のそこは、大きな階段を左右に従えて首長竜の全身化石が座しており、人気の展示のひとつだった。オルトは、名前の生まれた異界の地と似通った特徴を持つという点で、極東エリアの展示を楽しみにしていた。オルトはひそかに名前の生まれた世界はどこなのか、また名前をそこへ帰す手段を調べている最中であった。

そのオルトは今、首長竜の化石の展示のために一際高く造られた天井スレスレを浮遊していた。名前の言うとおり、魔導ビームの発射準備はほぼ整っており、照準はまっすぐ首長竜に向けられている。首長竜はバタバタと暴れ、長い首を振り回す。化石を取り囲んでいたはずの階段は一部崩れて、寮生たちが転がるように逃げ惑う。

イデアはその姿に唖然とした。以前来館した時は、紛れもなく化石だったはずだ。今日だって。化石のはずの首長竜がなぜ、肉を纏って。古代に生きていたであろう、完璧な姿で首長竜はそこにいた。

「オルト、避けて!」
オルトに向かって長い首を振る、その姿は復元予想図に限りなく近い。なぜだ?疑問に思う暇はない。ヒレがぶつかって怪我をした寮生が悲鳴をあげた。後ろで黙って戦況を見ていた名前が耐えかねて「東方地域の成り立ち」エリアに飛び込んでいき、イデアは舌打ちをした。

名前は寮生を回収して、比較的無事な大階段の上方に着地した。寮生の怪我は比較的軽症で、名前はネクタイを解くと怪我した足に縛りつける。それを見たオルトは黄色の目玉を釣り上げる。怒りの感情を宿した瞳ははっきりときらめいた。

「もう、みんなを傷つけるなんてひどい!……充填率92%、5秒後に発動します、4、3」
「うわああああオルト止まって!フタバスズキリュウに罪はないんです!きっと!スズキサンも望んで無いです!ビームはやめて!!!」
「は?誰」
「そうだね、苗字名前さん!僕もよく知ってるよ……でもね、もう我慢の限界!」
「……みんな退避退避!ビーム出るぞ!!」
再び5秒前のカウントが始まった。フロアの上方から名前が刀を持った手を振り回して避難を呼びかける。

炎は消火設備に影響が出るからだめ、水はこの階段を流れ落ちて下のフロアでモササウルスの行動範囲を広げてしまう。瞬時に判断して放たれたゼロレイ3連撃は、オルトのビームと時を同じくして直撃し、首長竜の動きを確かに止めた。地鳴りのような大きな音と共に首長竜は地に伏して、オルトが即座にファイバースコープを伸ばす。博物館見学の雰囲気を出そうとプレシジョン・ギアを纏っていたのが幸いだった。先端にレーザーメスと鑷子を展開して細胞を切除するとガラスシャーレにそっと下ろし、すぐさまイデアに手渡される。一見至って普通の、肉片であった。

「やったね兄さん!」
「ありがと、オルト。名前、これ電顕借りてすぐ調べて」
「魔力の痕跡ですか?一応、見はしますけど……」
超刀を担いだまま階段を駆け降りて合流した名前が言葉を切って、「世界のはじまり」エリアを見下ろす。

「……どうやらあっちが先みたいだね」
耳を覆いたくなるような轟音を立てて、モササウルスがついに「水槽」を完璧に破壊し尽くした。

「ナイトミュージアムかと思えば、ちゃんとジュラシック・ワールドだ」
先史最強の水棲爬虫類の姿を、名前が呆然と下を見下ろしている。それらが魔法のない元の世界で親しんだという、名前の好きな映画の名前だとイデアとオルトは知っていた。

「苗字名前さん、ジュラシック・ワールドって最後はどうなるんだっけ」
オルトが明るい口調で問うと名前はハッとして視線を上げた。
「人と恐竜の共生は恐竜の反乱で成り立たないんだ……あと、モササウルスは蟹漁船を食べます」
「最悪だ、聞かなきゃ良かった」
イデアは態とらしく絶望を表情に浮かべた後、2人に背を向けるようにして「世界のはじまり」エリアと向き合った。オルトが名前に「兄さんと僕がいるから大丈夫だよ」と声をかける。そう、こんなのイデアにとっては大した労ではない。全員守って寮に帰還した後の始末書がただただ面倒なだけ。

その間にもフロアに溢れ出す、存在しないはずの水は一体どれほどの量があるというのか。「世界のはじまり」エリアが水で満たされて仕舞えば、そこはモササウルスのテリトリーとなり、運動音痴のイグニハイド生はなす術もなく揃ってその巨体に飲み込まれてしまうだろう。

まだ完全にフロアを満たさない水の中で、モササウルスが待ちかねるように大きく躰を跳ねさせた。あたりに水飛沫が飛び、それを受けたオルトが「解析中……順に塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム……信じられないことだけど、これは海水に”間違いない”よ」と呟いた。イデアの表情は険しくなる。オルトのボディについては帰ったら真っ先にクリーニングしないといけないが、まずはこの世紀末アクション映画の世界から全員連れて脱出しないといけない。全くヤな仕事だ、寮長なんて。

「兄さん、「世界のはじまり」エリアが完全水没するまでにボスを倒さないと」
オルトはまだまだ余裕があるようで、RPGのNPCでも演じるかのように軽やかな口調でそう言った。一方名前はじっとモササウルスを観察して進言する。
「寮長、これはスピルバーグファンの間では常識なのですが、モササウルスは”跳ぶ”んですよ。だから、水没するまでなんてそんな悠長なこと……」
その時、未だ浅瀬(幸いその巨体が活動するには溢れ出した水だけではまだまだ足りないらしい)でもがいているモササウルスと目があった。間髪入れずにオルトと名前が制止の声も聞かずに飛び出していって、イデアは髪をかきむしった。

「あーもう、本当勘弁してくれよ!」
重力に従って中2階から落ちていった名前が真っ先にオルトの言うところのボスに到達し、勢いのままに剣を振り抜く。名前が飛び退ったところにオルトのフォレストストライクの連撃が浴びせられる。とどめを刺すべく、イデアは利き手を差し出して本日2度目となるゼロレイ3連撃を放った。

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