どこからきてどこへ

>>学バサっぽい真田主従

「旦那、寝るなら布団に行きなよ」
「うむ、うむ……うむ」
「幸村様、お風邪を召されますよ」
「うむ」
これは駄目そうだと名前と頷きあって炬燵の天板に突っ伏す幸村様を見やる。いつも9時に寝て5時に起きる旦那には夜更かしはよほどこたえたらしい。
「幸村様、いくらお体が丈夫とはいえよくないですよ」
「そうそう、明日お館様と初日の出行くんでしょ」
「うむ、うむ」
旦那は頷きながらどんどん眠りの淵に落ちていき、むにゃむにゃと言葉が怪しくなる。多分名前の言葉も俺の言葉も聞こえていない。
あまりに静かなので名前がそっとみかんをつむじに乗せてみる。やめなさいと咎めたがバランス良く乗せられたのでそのままにしてみた。縁起がいい光景だと名前がしみじみ呟く。

「佐助、名前」
「はいはい」
「お主らは……」
「はい」
「戦国時代に落ちたとして」
「はい?」
「どのように……」
「どのように?」
「生きるの、か……うむう」
「あら、寝ちゃった」
「寝ちゃいましたね」
とりあえず頭からみかんを下ろして仰向けに寝かせてブランケットをかけてやる。幸村様の眉間の皺がひどくて名前はとりあえず皺を丁寧に伸ばして(だからそういうことをするなと……と説教しても名前は笑うばかり)あとは炬燵の温度を下げる。
「幸村様の言ってたこと何だったんだろうね」
「さあね。この前廊下に立たされた時も同じようなことは言ってたけど」
「いつの件?」
「いや旦那もそんなにしょっちゅう立たされてるわけでは……」
幸村様の呼吸は深くゆっくりとしたものに変わり、名前が優しく後頭部で潰した後ろ髪を抜いて横に流す。これで翌朝変な寝癖がついて慌てることはないだろう。

「戦国時代に落ちたら……どう生きるかでしたっけ」
「ああ?そんな話だったね」
「佐助はどこに行っても幸村様を支えるんでしょうね」
「そうだね」
「幸村様は……きっと名のある武将で、ご先祖様のように……」
「うん」
「私も……お側に……ぐう」
「あれ、寝ちゃった?」
旦那の眠気に誘われたのか名前はごつんと炬燵の天板に頭をぶつけて静かになった。もう一枚をかけてやって転がしてやる。戦国時代に行ってもどこに行ってもこういうところはきっと変わらないだろうなと思いながら。



リクエスト/真田主従の年越し

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