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雷門中は私たちにとって憧れの場所だった。
だというのに、私も京介もサッカー部には入部せず、毎日をダラダラと過ごしている。
きっと京介は今日もゲーセンに行ってるに違いない。改造制服といい、不良以外の何物でもない。

部活に入っていれば放課後は活動があるし、クラスに友人がいれば友人と過ごすことも出来ただろう。私にはどちらもなかったけれど。
私自身、人当たりは悪くないとは思うけど、病院に通う都合上、登校できる日も少なく、その上、不良ぶってる剣城くんと仲良くしてるから怖いなんて言われて友達はほとんど居ない。悲しいことに。

私たちがそんな生活を送ってる間にも、雷門中は革命を起こしただとか、フィフスセクターとかいうサッカーを管理する組織をホーリーロードにて打ち倒しただとか、そんな大きな噂話は聞いた。
豪炎寺さん基、イシドさんや千宮司さんがその組織でそこそこお偉いさんをやっている、という話は知っていた。しかし、詳しい事情に関しては2人も話そうとしなかったので、完全に蚊帳の外でしかなかったし、それでいいと思っていた。

「いいなぁ」

河川敷でボールを蹴る雷門のサッカー部員たちを眺めていた。
会ったことは無い・・・・・・・・が確か、隣のクラスの子たちだった気がする。
2人は拮抗したボールの応報をしていたが、スライディングした拍子にこちらにボールが飛んでる。

「あ!そこの人!危ない!」

咄嗟に私は立ち上がり、ボールをゴールにめがけて蹴りあげた。
少年たちは慌ててこちらへかけてくる。
そして申し訳なさそうな表情を浮かべながら頭を下げた。

「ごめん!大丈夫だった?」
「大丈夫。私だったからよかったけど、次は気をつけてね。」
「うん、気を付けます…。
 それにしても君、サッカー上手うま………」

茶髪の少年はそこまで言いかけたところで言葉が止まる。呆然とこちらを見ている。

「あの?」

沈黙に耐えきれず声を上げると、少年は驚きを隠せない様子で聞いてきた。

「春咲!?」

少年は間髪入れず、部活は?どうしてこんなところに?そもそもサッカーはできたの?と困惑と興奮か入り交じったように喋繰る。
引き気味に、ちょっと待って、と声をかければ、少年は謝って大人しくなる。

「確かに私は春咲だけど。私たち、初対面だよね」
「あ…、えぇっと、その〜…。」

少年は嘘が苦手なようで、視線をウロウロさせながら言葉を選ぼうとしている。何だか虐めてるみたいで可哀想になってきた。適当にフォローしてあげようと思ったところで、聞いたことのある声が聞こえた。

「芥ちゃん?」
「優一さん」

声のした方を見下ろせば京介の兄である優一の姿があった。

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