ねた
ダンプカーが突っ込んできた。衝撃なんて感じる間もなく意識を失った。これ死んだね。間違いなく死んだ。うーん、ごめん!私死んだ!冷蔵庫のプリンは食っていいからね!
そんな思考を浮かべたところで疑問に思った。
いや、死んでるのになんで思考できるんだって。意味を聞かれてもわかんないし、なんだか周りがうるさい。ぎゃあぎゃあと誰かが泣いている。多分赤子だ。そんな面倒を見ない保護者は誰だと、瞼を開こうとして、視界が眩しい。今私は太陽の真ん前にいるのかもしれない。そんなわけないんだけど、100年ぶりに目を覚ました、みたいな。それくらい瞼が重い。例えたけど100年も生きたことなんてない。
そうして、目を覚ますと父がいた。
正確には自分が知っている父よりも少し若い姿の父だ。私は抱えられている。優しく、宝物のように。その人物の顔を見ようと上を向いて、疑問に思った。彼女は誰だろう。
父は彼女のことをお前のお母さんだよ、と優しく囁くと私の頭を撫でて、私が母と呼ばれた彼女の方に目線を向ければ彼女は嬉しそうに目を細めた。
私の母は黒髪だったはずだし、髪だって長かった。金髪碧眼の女性ではなかった。
すぅ、と寝息が下から聞こえ、ベッドの方を確認すれば小さい金色が布団に伏せて寝ていた。
「お前のお兄ちゃんだよ」
「ジークったら…ずっとあなたが産まれてくるのを楽しみにしていたのよ」
母と呼ばれた彼女はそう言ってジークの髪を優しく撫でた。私には弟はいるが、兄はいない。
ここは、一体なんなんだろうか。思考するように瞼を閉じた。
私は、抱えられるほど小さくはない。弟に身長は越されて閉まったけれど、それでも抱えるにはあまりにも大きい。巨人でもない限りありえない。
100年前にいたとかいう巨人なんている訳ないんだけど。そんなことを言えば弟の幼馴染はいつものように色々捲し立てて語ってくるだろう、こう、巨人に抱えられるなんてすごい経験だ、とかなんとか。説明が難しいが、彼は浪漫があるものが好きだから。私はそういうのよく分からないけど。
存在していたという事実を否定している訳ではなく、現代には存在しない、という意味だ。
うーん、これもしかして、最初にうるさかった赤子って私の事かも。