地球号が終わる時

これのずっと未来の話



星がどろりと融けていく。望遠鏡の、その遥か向こう、我らが愛し慕うべき星がゆっくりと。
天文台の入館切符を寄越した同窓生が「なぁこれは無理だな」と声を漏らした。
無理だろう、きっと。僕らがかの星に立ち入る機会は、目の前で消滅の危機に瀕している。街の誰もが、どうにかしたいと切に願っていて、街の誰もが、どうにも出来ずに観測者であることを強いられている。
「一度で良いからあの星へ」――それは人類の夢だった。誰かが「くそッ」と毒づく。
夢と愛慕を載せた無二の船の最期を、僕らは哭きながら見届けるほかなかったのだ。