神様の命令に人は従うしかない
カランカランと扉を開ければ鳴る音。マダムに会える、とただいま私のテンションは鰻登り中だ。
「あれ、人いないね」
クリスマスだからさぞ混んでいるであろう、と思っていた店内は閑古鳥がないているという表現が会いそうなほど。
「あらトムに名前ちゃん」
「やあマダム」
そう軽く返事をするとトム。しかし私はそれどころじゃない。
だって!マダムが、マダムが!
「マダム、なんで名前」
「あら、私可愛い子の名前は忘れないのよ」
うふふ、と笑うマダム。私、もうしんでもいい。
「マダム、名前が調子にのるよ」
「ふふ可愛らしいじゃないの」
「僕のことを尚更見てくれなくなるじゃないか」
「あら、それは困るわね」
そういうとバタービールでいいわね、と確認をしマダムはウインクを一つ飛ばして、楽しそうに奥に引っ込んでしまった。ああ、私のマダムが…
というか、さらりと誤解を招きうる言葉があった気がするのだけれど。
「そういえば」
「?」
「名前からのプレゼントが無かったけれど」
その言葉に思わずぎょっとなる。いや確かに送りはしなかったんだけどね。うん。
でもプレゼント全部無かったことにしてたじゃん(見なかったことにしたけど)。
それなのに私のいるかなー?とリドルくんを横目で見やれば、リドルくんはそれはそれは麗しい笑顔を浮かべる。わーイケメンだー。
「くれるよね?」
どうしてだろう!疑問系なのに拒否権がないように聞こえるよ!
(あうちっ!)
(どうしてこうなる!)