過去に神様に会っていても人はそれを信じない
食事を終えれば、杖を一振りして食器などの邪魔なものを片付けるリドルくん(プレゼントも一緒に片付けていたのは見なかったことにしよう)。
さて何をしようか。課題も終わらせてしまったし。
「ねえ名前」
「なに?」
「ホグズミードにでも行こうか」
リドルくんはそう言うと、私の返事も聞かずに立ち上がる。えー、と言いそうになる私にリドルくんは何でもなさそうに言う。
「三本の箒でバタービールでも飲もう」
「マダム!」
思わず立ち上がった私にリドルくんは呆れた顔をする。でも仕方ないと思うんだ、あの人の美しさは罪だ。
気分が乗った私はリドルくんを追い抜き、玄関に向かう。ローブに防寒魔法をかけ、マフラーを部屋から呼び寄せる。
準備が完璧な私とまだゆっくり歩くリドルくん。
「リドルくん!遅いよ!」
「はいはい」
リドルくんが呆れたように笑って返事をする。そんなリドルくんを急かしながら、先を急ぐ。
玄関を出れば、完全防備な私達を迎えるのは一面の白。足跡一つないその風景にテンションが上がる。
「ねえ!リドルくん!」
此方を振り向くリドルくんに当たる雪玉。勿論、投げたのは私だ。
「…」
「あはは!リドルくん当たってやんの!」
「…ふふ」
俯いていたリドルくんが笑う。
「いい、度胸だね」
きれたリドルくんの表情に、少しだけあの子が被った。
(でじゃう"っ!)
(きっとあの子を思い出したから!)