神様の行動に人の思考は追いつかない
じゃっじゃじゃーん!!

効果音付きで杖を一振りすれば、現れたブッシュドノエルにリドルくんは呆れた様子で私を見た。ケーキのクオリティは高いのになんでだ!
プレゼントと称してビターチョコレートのブッシュドノエルを作ったが。決して、私が食べたかった、とかいうわけじゃない。決して違うから。

「大広間に戻ってみたら、いなかったから何処にいったのかと思えば」

呆れたようそう言うリドルくん。

「というか、これ。名前が食べたかっただけでしょ」

断言するリドルくん。
…違うし、(流し目)。
リドルくんは私の顔を見て笑うと(嘲笑うような!)、杖を一振りしてケーキを切り分ける。銀のフォークが私の前にも置かれる。わーい、いただきまーす。

「…」

自分で作っておいてあれだけど。美味しい。すごく、美味しい。
のだけれど。リドルくんは一切食べない。私が食べてる様子をみて微笑むだけ。
イケメンだなチクショウめ、とかは言わないけど。

「リドルくん?食べないの?」
「…まさかこれだけじゃないよね」

え。いやいやいらないって言ったじゃん。

「君がそこまでお返しをもらって欲しいなら、貰わないといけないじゃないか」

天才は飛躍しすぎて意味不明です。
リドルくんは小さく微笑み、立ち上がる。はい、嫌な予感ー!

「まあ、しょうがないから一曲で勘弁してあげる」

リドルくんがそれはそれは楽しそうに杖を振った。
気づけば、大広間に4つの大きなテーブルは無くなっていて。目を瞬かせていれば、何処からともなく手が差し出される。
手の主は勿論、ドレスローブ姿のリドルくん。そこで私は自分の姿に気づく。

「よく似合うね」

深い緑色のドレスの裾が床に広がる。髪はアップで首元にはあのチョーカーにシルバーのネックレス。艶めく黒色の床に差し出される真っ白な手がまるで媚薬のように私を誘っていた。
その手を取れば、リドルくんは楽しそうに笑うのだ。


(めりーくりすます!)
(手をとったのはクリスマスだったから?)

katharsis