初対面です。間違いなく
4月、入学式シーズン。勿論それは僕の通い始める烏野高校も例外ではない。ぞろぞろと集まる新入生・在校生、共々からの鬱陶しい視線を片っ端から無視しながら僕は所定の位置についた。

「ツッキー!今年もよろしく!」

僕の後ろから聞こえる声に、小さく溜息をついて僕は「はいはい」と小さく返事を返した。
暫くして入学式が始まれば、定番の挨拶と決まり切った内容にふああ、とあくびが出た。退屈すぎる。そういえば今日インディーズアルバムの発売日だな、予約したのもう来てるか?イ左川急便は嫌だなー。なんて。
式が進み、壇上に上がった担任?に順々に名前を呼ばれる。「月島蛍」と呼ばれればやる気なく返事を返す。「月島」と僕の名前の後にまた聞こえた気もしたけど、そんなの本当にどうでもよくて。僕の頭にあるのは今日発売のCDの事だけだった。



「ねえ!親友になろ!」

席に着いた瞬間、後ろの座席からそう声をかけられた。「よろしくね!」と僕の返事も聞かず、笑う少女に僕は思わず目を瞬かせた。そして眉間に力が入る。

「はあ?」
「私!月島名前!同じ月島だなんて運命だよね!えっと、月島…ほたるくん?」

その言葉に思わずため息をつく。またこれか、小学校中学校と繰り返してきたことがまたここでも行われるのか、そう思うと本当に面倒くさい。

「ねえ!ほたるくん!」
「けい」
「え?」
「月島蛍」

暫く目をパチパチさせて、不思議そうにしていたそいつは、ああ!と頷いた。

「蛍って書いて、けいって呼ぶの?素敵だね!ほたるくん!」

思わず手が出そうになった僕に罪は無いだろう。


月島と月島
(同姓だからなんなんだ)
katharsis