※女監督生が別にいる。サバナ主
今日は式典か、これに参加するのももう最後になるな。なんて寝起きの頭で考え、重い体を起こして衣装に腕を通す。
脳裏に蘇るのは、15の頃。その時はNRCに入りたいなんて思ってなかったし、男子校ってことすら知らなかった。だから急に迎えが来た時は死ぬんだなって悟って全身が硬直してた。
今思っても、勝手に連れてくってどうなってんだよ。ここ同様に入りたいと思う学校が無かったのがまだ救いだったが。
2年前のあの日、今日と同じように鏡の間に集まって寮を決めた、刺激的な光景に肌がヒリつく。あれから周りや自分の外見は変われど、ひねくれた中身はそんなに変わっていない気がした。なぜならここに初めて来た日も今も、女いねえしつまんねえな、と感じているから。周りを見渡しても誰一人女なんていねえ。目の先にいたヴィルを見てため息をつく。
「ちょっとアンタ。新入生にそんなとこ見せないで」
「はあ」
うるせえ男だ。女みてえな顔してるのにちんこあるとか頭混乱するわ。なんか学園長もうるせえし。誰かが尻に火ついたとか騒いでるし。あ〜まじでなんでここ共学じゃねえ……え?なんかあそこ、女、いない?
♦♦♦
あの後は大変だった。主に学園長が。教師陣も寮長達もおつかれワロタ。俺はなんも大変なことなかったなぁ。
強いて言えば、寮に戻ってからレオナがベタベタくっついてきて鬱陶しかったことくらいか。アイツが甘えたがってる時は大体何かあった後だ。式典に出たことで不機嫌だったのか、フードを外してトレインにキレられたことが原因なのか。
どっちでもいいけどキスがしつこくて困った。あんな見た目してんのにな、ネタか?抱くのも気分じゃなかったし、まあ一応恋人だから一緒に寝はしたが。腕枕が好きなのか首に頭を擦り寄せてくるから擽ったくて仕方がない。おやすみ、ってデコにキスして瞳を覗いた。
「ん……、ふっ……」
獅子は満足そうに笑い目を閉じた。俺も寝ようか。
まだ寝ぼけているレオナの隣で目を覚ます。暫くぼーっとした後、なんか忘れてるなあと頭に手を当て、なんだ、なんだっけ……と記憶を辿った。昨日のことだ、何かを忘れてる。……あ。
「そう言えば昨日、女いたよな?アレどうなった?」
俺ってめちゃくちゃ馬鹿じゃん。そういえば女が来てたはずだった。なのに俺はすっかり忘れていて。
けどそれも仕方ない。だって女いる!って思ったら猫が出てきて、火を吹き散らかして、リドル達が追いかけ回して。その後の、構ってちゃん状態のレオナで追撃食らったみたいなもんだから。忘れるわそんなん。
俺の問いにレオナは グルルル……。と唸ってから「……さあな。知らねえよ。……どうでもいいだろ」とだけ返しそっぽを向く。……え、何か拗ねてるこいつ。嫉妬かな。独占欲が強いとこにちょっと可愛さを感じ、割れた腹をなぞってやると「ん……」と声を漏らしたので、やべえ朝からセックスはだりい、とベットから這い出た。
噂の監督生ちゃんは、あの化け猫と一緒に汚ねえ寮で生活してるらしい。それを聞いた瞬間、レイプし放題かよ……と思ったやつは俺以外にも居るはずだ。実際やるかは置いといて。
鏡の間での出来事から数週間もすれば、監督生ちゃんを見つけることも難しくはなかった。しかし、正直女だったら何でもいいわなんて豪快なこと抜かしたが、もうちょい肉がついてたらなあ。年も丁度1年と被るらしく、当たり前に化粧っ気もない。異世界から来たんならそれどころじゃないのもわかるけど。すっぴんでも可愛いっちゃ可愛いか。
うーん、1年の時の純粋無垢な俺だったら惚れてたわ。取り敢えずやっと見つけた事だし、距離縮めてとっととヤろ。本当はレオナと別れて女と付き合うつもりだったけど……この子、なんか彼女として紹介とかはしたくない感じだな。魔法使えないし。
俺はいつも通り最低なことを考えながら女の小さい背中に近づいていった。
「ねーね、そんなに教科書持っちゃって、重くない?女の子なんだからさ、俺みたいなのに頼った方がいいよ」
この学園に男なんて腐るほどいるしな。という言葉は既のところで飲み込む。背後から声をかけるとその女は ビクッと肩を揺らしこちらへ振り向いた。
「えっ?あの……はい……?」
「これどこ持ってくの?大丈夫?俺持つよ」
聞けばこの大量の資料や教科書は、先生達から貰ったらしい。それを今から寮に持っていく、と。やべえな、かなりついてる。運は俺に味方したぞ。
にやけた面を抑えて荷物をもらい、寮までの道を喋りながら歩いた。ここは彼女が知らないことばかりの世界らしく、話題は大量にあったし結構楽しめたと思う。あっちがね。俺はなんも楽しくねー。
「へぇ。そっか、自分の世界の家族とか彼氏、心配してるだろうね」
「 そうですね……。家族には心配かけていると思います。彼氏はいないのでわかりませんけど」
そう言って笑いかけてくる女に俺は処女だったらめんどくせえなと思いながら笑い返した。
「はは、意外だなぁ。ユウちゃんこんな可愛いのに」
「えっ!あ、りがとうございます……」
空いてる片手で顔を隠し照れる姿を見て俺は確信した。やべえ、処女だわ、と。まあまあまあ、この学園にも薬は色々あるし、男と女じゃちょっと違うけど……あのレオナをメスに出来たんだ俺だ、いけんだろ。
そうして適当に彼女の話に相槌を打っていると、目の前にはきったねえオンボロ寮。
「 あ、俺入っちゃって平気かな?」
言っていることが理解できない。という表情でこっちを見上げてくる監督生を見下ろし続ける。
「ほら、男とこんな離れで2人きりだと怖かったりしない?何もしないけどさ」
こんなことを言いつつ、俺は怖くないですよーみたいな顔してユウを見る。好感度、上がれ。ぶっちゃけ言わない方が警戒心もなしに持っていけたが、意識させた方が後処理も楽だし早い。一石二鳥。
「い、いえ……あの、私名前さんのこと、怖いなんて思わないです」
ほらね、ちょろい。もう少し危機感もとうぜ魔法使えないんだから、とちいせぇ頭を見て震えた。とはいえさすがにこのまま襲う気はないし、普通に部屋に入って、ガタガタなテーブルの上に荷物を置く。
「先輩、ありがとうございました。助かりました」
「うん、力になれて良かった。またなんかあったら声かけてな。あ、何もなくても話しかけて欲しいけど」
「……はいっ!」
その後はすぐ別れて、オンボロ寮から自分の寮への道を1人歩く。初日にしては結構いけたな、と足取り軽く自室を目指す。
しかし静かな学園で、気分よく歩く俺を邪魔するように着信音が響いた。ラギーからだ。
「もし」
「先輩!!今どこにいるんッスかぁ!周りの奴らが、先輩が監督生と話しながらオンボロ寮向かってたって話してて、レオナさんちょーキレてるッス!!」
「おー。今戻るわ」
おーじゃないッス!とかなんとか叫んでるやかましいハイエナの電話をぶっちぎって、ムラムラするしレオナ抱くか、と決意し鏡を潜った。