魔王降臨
「柱間ァァァ!!」
今日も戦場()に元気に響くやじゅ…マダラの咆哮。もはや鳴き声なのではないかというそれは毎度のことながら周囲の空気を痺れさせる。鳴き声とともに彼は柱間に突撃した。
「今日も元気がいいの!」
対する柱間は、弾丸の如く飛んでくる黒い物体を拳で受け止める。パアンッと皮膚同士がぶつかる音が大音声で轟く。演習場を囲む森の木々が恐れるように葉を大量に落とした。
「お前は!!一体!!なんなんだ!!」
空気が雷が走ったように震える。マダラの瞳孔はかっぴらき、回転対称の万華鏡写輪眼がキュるりと回った。
柱間はガハハと豪快に笑いながら木遁の印を結ぶ。
「ザルぞ!!」
「元気に答えることじゃねぇ!!」
昨晩酒をあけたのはいいがいつの間にか飲み比べが始まり、酒にそんなに強くはないマダラは顔を真っ赤にしてぶっ倒れた。それはもう盛大に。急性アル中ではなかったものの、朝起きたら頭の中をドラを持った兵隊がパッパラパーと軽やかに行進していたのだ。いくら酒を飲んでも飲んだ端からアルコールを無毒化してしまう陽遁チャクラの申し子は、一切酔うことがなかった。朝起きてもケロリとしていた。
「というか理不尽ぞ!!オレは挨拶しただけぞ!!」
「うるせぇぞ、柱間ァ!頭に響いて仕方ねぇんだよ!!」
未だに頭の中で歪な音のラッパを鳴り響かせる兵隊にイライラを助長されたマダラは、柱間の木遁を火遁で燃やしながら火を切りつつひた走る。
柱間はあまりにも理不尽な理由に眉根を寄せ、ぶーと言わんばかりに口を尖らせた。暴れるマダラをひとまず拘束しようと木遁を操り続けた。木遁はひたすらマダラの背を追い、マダラは青い炎の天狗基、須佐能乎でそれをひたすら避けつつ破壊し続ける。
「……もしかしてまだ酔が抜けてないのか?」
柱間の問いかけに、マダラは声を張り上げながら答える。
「んなわけあるか!!」
ふとマダラの紅潮していた頬が色を失う。何かが体の中央部分から迫り上がる不快な感覚に、思わず手袋に覆われた手で口を覆う。気管自体が灼熱を持ったように熱で覆われた。
マダラが晒した一瞬の隙を突いて、柱間の木遁がマダラの着地している石を押しのてマダラに襲いかかる。未だ鳴り止まないゴングたちにイライラしつつ、マダラは吐き気を堪えるのに必死だった。木遁はマダラの手を引っ張ると、青炎の鎧から本体を引っ張り出した。すると、引っ張られてふわりと浮いた彼は、キラキラと何かを自身が通った道筋に撒き散らす。あたりになんとも言えない酸っぱい香りが漂い、柱間はあまりのことに唖然とし、思わず鼻を覆った。
「酷いぞ……あんまりぞ……」
「うっぷ……げぇ」
マダラは半流動状のものをきらきらとさせながら蹲った。須佐能乎は咆哮を上げて霧散する。柱間は何ともいえな表情をしながらいつの間にかやってきていたイズナの方を見た。イズナは呆れた顔をしながら小さく呟く。
「知らせがあって急いで来てみれば……兄さん、またやったの」
「う……」
きらきらが出なくなると、イズナはゲロが付着していない方の腕を肩にかけて兄を持ち上げた。イズナに肩を貸されたマダラは、顔を青くさせたまま紅蓮の炎を吐き出す。炎は吐瀉物を呑み込み、不自然に生えた大木すらも食い殺した。
驚いた柱間とイズナは、足で石を鳴らしながら数歩後ずさり、抗議の声を上げる。
「ちょ! なにしてんのさ!」
「危ないぞ」
「すまん……」
そうこうしている内に、燃え盛る炎が川から生まれた水の竜に消化された。霧の中からジャリッ…ジャリッ…という石のぶつかる音がする。3人が竜が生まれた基点の方向を見れば、中からぬらりと黒い人影が姿を現す。
「念のために持って来たが……遅かったか」
赤い目を据わらせ、眉間に連山をこしらえた扉間はゆったりとした足取りで3人に近づく。その手にはバケツがぶら下げられていた。
「とりあえず……」
煤けた大地とゴーストのオブジェ化した焼け落ちた木を一頻り見ると、扉間は肺一杯に空気を吸い込み、バケツを投げた。
「酔っ払いと兄者はそこに直れ!!」
「とばっちりぞ!!」
扉間の声が轟き、森が振動する。驚いた小鳥たちが空へ飛び立ち、川の中にいた魚たちがぴょんと跳ねた。
顕現した鬼神の前には神や鬼も無力である。柱間とマダラは気圧されて地面に膝をつき、怒気の前に背筋を伸ばした。巻き込まれたイズナは、やれやれと苦笑しながら木にもたれ掛かる。
「恐ろしいことだ」
「イズナ、貴様もここに加わりたいか?」
「それはごめんだね」
扉間は一つ深いため息を吐くと、兄と酔っ払いへと目線を向けた。
「兄者、マダラ、まずこの惨状について説明してもらおうか」
説教は小一時間続き、後日千手兄弟宅には菓子が届けられたとかなんとか。
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マダラ
酔っ払い。こってり絞られたあと、菓子折を持って行った。柱間と戦ってたのは日頃の鬱憤晴らし+理性がゆるゆるになってたため。絡み酒の人。仕事から逃げるな
柱間
巻き込まれた。朝起きたらそのまま川原へ連行された被害者。今回のは絡み酒とかそういうレベルじゃないぞ
扉間
被害者その1。宴会跡地の様子を見て色々察したが現地を見て色々爆発した。いい加減にしろ
イズナ
被害者その2。朝の空気でも吸おうと宴会場からでてきた所にうちはの忍から知らせを受けて駆けつけた。もう何回目?