マダラがすべて諦めた世界線(書きたいところだけ)
「すまない…イズナ…」
一族の未来を守るために最愛の弟が残した眼が映すのは美しい紅蓮の炎。有機物であれ、無機物であれ、等しく飲み込む炎は穏やかに揺らめき燐粉をこぼしている。
「里を捨て、一族を捨て……最後に自分の命を絶とうとしているのを見てお前は、この兄に失望するか?」
里を興してしばらく後、一族との不和から敗戦の責任を取る形で族長を辞し、そのまま誰にも告げず里を出た。守りたかった一族を守れず、友と興した里にも居場所はなくなり、弟が死んで自棄になりかけていた心はやがて本当の終焉を迎え、すべてを諦めるようになった。
だがせめて…弟の目で美しいものを写したくて、弟の目を通せばイズナに色々なものを見せてやれると考えて世界を旅した。美しい世界なぞありはしないが、弟の残した眼には醜いものを写したくなくて柄にもなく人助けをした。
旅の終点は生まれ育ったうちはの里、そこに眠るイズナの墓の前。放たれた炎はあたりをなめ尽くし、術者本人も飲み込もうとしていた。
「お前の眼で見てきた世界はどうだった?美しかったか?醜かったか?」
眼前にある物言わぬ冷たい石は、周りの焔を反射して優しくオレンジ色に染まっている。
「ようやくこれで……」
死ぬことができる。体を炎が飲み込み、焼き尽くしていく。意識が薄れ、視界が真っ黒に染まった。
炎は有機物ならば等しく黒く灰にしてしまう。族長であった彼の体は、肉が焼け落ち、骨が砕け、灰になり森の中へと還っていった。
というとでも思ったか。
「……イズナ?」
目覚めると在りし日の光景が広がり、目の前には昨日夜なべして作り上げた資料が散乱していた。
顔を上げれば、まだ2つの眼孔が空になっていないイズナがいた。
「兄さん、随分魘されてたけどどうしたのさ?」
「……あれは夢か……?それにしては随分と現実実を帯過ぎやしないか……?」
ぶつぶつとつぶやく兄をイズナは訝しそうに覗き込む。
「兄さん?」
「なんでもねェ……頭いてぇ……」
「大丈夫?……温かいものでも持ってくる?」
「すまねぇ…」
夢オチ風になっているが夢オチではない。しかし、このうちは兄弟は、直後に万華鏡写輪眼を巡って(マダラが目やるから死ぬなぁ!と錯乱し、イズナがいらないってば!と全力で拒否し、マダラがゴリ押する形で)争い、万華鏡を以て敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、果に(マダラがイズナを説得して)千手と同盟を結び、木の葉を興し、平和に暮らしたとか何とか。
「あの時ほど兄さんの頭を心配したことはなかったな……」
「その節は……すまなかった……」