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 柱間はその場にどかりと座り込み、包みを胡座をかいた足の間に乗せる。深緑のズボンの上に若草色の柔らかい布が乗った。
「何だそれ」
 釣られて座ったマダラが不思議そうに包みを覗き込む。弁当か?と問えば柱間はほわほわとした様子で頷き返す。
「時間も時間だしの、腹が減ったぞ。……マダラは持ってきてないのか?」
「……持ってきた」
 マダラも腰のポーチに手を突っ込んで朱色の巻物を一つ取り出す。しゅるり、という紐の解ける小気味よい音と共に封を解き、組んでいた術式を発動させると藍色の包みを具現化させる。
 彼らが弁当の蓋を空けると、きっちりと整列している料理達が食べて欲しげに見上げてくる。柱間はキノコが所々顔を出し葉が飾りで植えられた薄く色づいた炊き込みご飯、卵焼き、甘塩っぱい匂いが鼻腔を抜ける照り焼き、緑の夏野菜と人参が色を添えて目にも楽しい弁当が、マダラは甘いタレの匂いが食欲をそそるいなり寿司がぎっしり詰まり、レタスの上の焦げ目が佩かれたたこ型のウィンナー、シーチキンと艶やかな赤と黄色のパプリカのサラダという賑やかな弁当が広がっていた。
「キノコご飯ぞ」
「稲荷だ」
 二人は自分好物の入った弁当を見て嬉しそうにしながら手を合わせる。
「「いただきます」」
 柱間は炊き込みご飯を箸でつかみそのまま頬張る。醤油の香りと飾りの青葉の香りが口の中に満ちた。とそこで同じくいなり寿司を頬張っていたマダラが、嚥下したあと箸を柱間の弁当に伸してきた。
「うま……何するんぞマダラ!」
つかみ上げられた黄金の、タレを滲ませる巻き卵。それを口に放り込んだマダラはゆっくりと味わうように口の中で転がす。
「うまいな」
 ペロリ。マダラは口の端についたタレを舐め取る。柱間の頭が急激に高度を落とし、辺りの湿度が一段と増した。
「ひどいぞマダラ」
「やかましい」
肉汁が美味しそうなウィンナーを口に放り込みながら、うっとうしそうに柱間を見遣るマダラ。柱間をそれを見て、にまりと口角を上げて効果音がつきそうな勢いで目にいたずら小僧のような光を宿す。
「隙あり!」
「あ……柱間ァァァ!!」
 一瞬の後、柱間の箸の間にはマダラの弁当の中に入っていた筈のウィンナーが存在していた。それを口に含むと、肉の弾ける小気味よい音を鳴らしながら肉汁を堪能しつつうまいぞ、と呟く。
 マダラは上半身を勢いよく柱間の方に向けて叫んだ。柱間はしれっと答える。
「お互い様ぞ。……タコさんウィンナーか?」
「ああ、そうだ」