大丈夫だと思っていたけれど大丈夫ではなかった話


学校からの帰り道、マンションへたどり着くにはこの街灯のない道を通らなければいけない。
しかしここ数日この道を通るたびに視線を感じるようになった。
私の自意識過剰だ。と言い聞かせているけれど...

「...ストーカー?」

そんなわけがない。
私がストーカーにあうわけないでしょ...。



次の日の学校帰り、夕飯のおつかいをしようとジュネスへやってきた。
あの姿は...思った通り足立さんだ。

「足立さんまたサボ...息抜きですか?」
「ん、あー!名前ちゃん!君に話があったんだよ。」
「私に?」
「そうそう!ジュネスにいれば会えると思ってね。」
「話...?」

すると足立さんがスマートフォンの画面を見せてきた。

「名前ちゃんのマンションってこの辺だったよね?」
「そう、です...。」

画面には私の住んでいるマンション周辺で女が男に教われる事件が多発している。という文章が書かれていた。

「名前ちゃんが被害に合うのは見たくないからね。あ、あー、刑事としてね!」
「ありがとうございます...。」
「どうせ、自分は被害に合わない。とか思ってるんでしょ?」

足立さんの言う通りだ。
私は合わない。そんなこと起こるものか。

「ま、気をつけてね。ってことが言いたかっただけだから。じゃあね」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」

足立さんはそう言いジュネスから出ていった。
私も買い物をして帰らなければ。




「...頑張ろう。」

買い物をしていたら外は真っ暗になってしまった。とは言っても通らなければいけないこの道。

−どうせ、自分は被害に合わない。とか思ってるんでしょ?−

そんな足立さんの言葉を思い出した。
合わない合わない。私は大丈夫だ。
私が被害に合うわけない。

「大丈夫。」

自分にそう言い聞かせ歩き出す。
コツコツと足音が聞こえるのは気のせいだろうか?
私が立ち止まると共に背後から音が消える。
また歩き出すとだんだん近くなる足音に恐怖を感じ走り出そうとしたその瞬間。

「ねぇ」

突然腕を引っ張られ振り返ると、そこには全く知らない男の姿があった。

「誰...ですか...?」
「やだなぁ、ずっと僕は名前を見ていたのに。ここでずっと...ね?」
「し、知らない...あなたのこと知りません!!」
「名前...君は本当にかわいいね...」

その男の顔が近づき、指先が頬へと触れる
逃げなきゃ、でも、足が動かない...

「はい、そこまで!」

聞き覚えのある声がした。
今はとにかくこの男から離れたかった。
その声に気が緩んだ男の隙を見て距離を取り声がした方向へ顔を向けると

「足立さん...!」
「俺と名前の時間を邪魔すんな!」

ストーカーがそう叫んだ。
その言葉足立さんは面倒そうに口を開く。

「あのさ、そう言うけど君とこの子そういう関係じゃないでしょ...。あ、もしかして君この辺で有名なストーカー?」
「てめぇさっきから何なんだよ!」
「僕?...僕は、こういう者だけど?」

足立さんはいつもとは少し違う黒い笑みを浮かべ警察手帳を見せつけていた。
...背筋がゾクッとしたのは気のせいではないだろう。
足立さんの警察手帳を見たストーカーは逃げるように走り去っていった。

「ありがとうございました...。」
「だーから言ったじゃん。被害に合わないとか思ってるの?って、これでわかったでしょ?いつ誰が被害者になってもおかしくないんだから。」
「...はい。」
「これからは一緒に帰ってあげようか?」
「はい...?」

サボる口実だろうか。
見回りと見せかけたサボりだろう。

「なーんて嘘だって!あれ、もしかして本気にしちゃった?んじゃ、お巡りさんはこれで、気をつけてね。」
「あ、ありがとうございました...。」

ちゃんとお礼もできないまま足立さんは帰ってしまった。
あとでお礼しないと...。


キャベツでいいかな...。


(グダグダだ)
(おまわりさんなら家まで送っていけ)