オレンジジュースの味は、
「名前ちゃんって頭いいの?」
テスト終わりにジュネスへ行くとサボっていた足立さんにそう話をふられた。
「普通です。ふ・つ・う」
「まー、君が頭良いはずないもんねぇ。」
「それほど外見からバカオーラ出てます?」
「うん。」
即答された。悲しい。
「わかんないところあるなら僕が教えてあげてもいいけど?」
「足立さんがですか?」
「前にも言ったでしょ?これでも優秀だったんだから!」
足立さんとはいえおまわりさんだ。
足立さんとはいえ国家公務員なんだ。
足立さんとはいえ国家試験受けて警察になっている。
...ということは頭良い人なのでは?
そうとなれば話が早い!
「お願いします!」
後日、さすがに警察が高校生を家に連れ込んだところを見られるのはよくない。と、足立さんは私の家までやってきてくれた。
「へー、思ったより綺麗じゃん。」
「思ったよりって表現やめてもらってもいいですか?」
「そう?まあいいでしょ。で、どこがわかんないの?」
足立さんはリビングの椅子に座り問題集とノートを開いた。
「以外と物覚えは早いみたいだね。」
「以外とってなんですか。以外とって。」
「そのままの意味なんだけど?」
「...そうですか。」
「っていうか疲れたでしょ?休憩する?」
少し疲れた気がする。
ここは少し甘えて休憩しておこう。
「そうします。少し寝てもいいですか?15分ぐらいしたら起こしてください。」
「はーい」
足立さんがそう返事をしたのを聞きソファへと横になった。
「...!」
ふと目を覚ますとすっかり夕方になっている。
15分どころか3時間近くたっていた。
「え!?...あ、足立さん!?」
「んー?」
視線の先で足立さんが紙パックのオレンジジュースを飲んでいた。
あ、冷蔵庫勝手に開けちゃった〜。じゃない。
そうじゃない。
「15分って約束したじゃないですか!」
「したね。」
「じゃあどうして起こしてくれなかったんですか?」
足立さんの手元には私の問題集。
ひさしぶりに解いてみたけどまだできるもんだねー。なんて言っている。
「名前ちゃん勉強できないわけじゃないし、応用きかないだけなんじゃないかなー。と思って、僕が長々と教える必要もなさそうだし?それに、名前ちゃん気持ちよさそうに寝てたから起こすのもったいなくて。」
足立さんが解いていたのは私が解けなかった応用問題だった。
見事に正解している。
「もう1つ言うとすれば、頭いいからって世の中成功するわけじゃない。多少できないことあってもいいと思うよ?それでも僕に教わりたいっていうならそれでもいいけど。」
「どういう意味ですか...?」
「どういう?んー、簡単に言うなら...」
足立さんと目が合った。
「好きな子には僕みたいな生き方してほしくないな。って思ったの」
またオレンジジュースを飲みながらそう言っている。
好きな子か...好きな子?
...好きな子!?
「あ、ああ、むぐっ!」
「それ残り飲んじゃっていいから!」
足立さん!と声を出すより先に、オレンジジュースのストローを口に突っ込まれた。
「あー、僕がこれだけ言っても勉強教えてほしいっていうならまた声かけて。どうせジュネスで会えるでしょ?それじゃ。」
言うだけ言って足立さんは出て行ってしまった。
情報量が多すぎて脳がパンクしている。
落ち着こうと口に突っ込まれたオレンジジュースを飲み
「...これ間接キ...」
これから足立さんにどんな顔で会ったらいいのかわからない...。
なにこのオレンジジュース
甘酸っぱいなんて聞いてない。