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「それ本気?僕をいいように使おうとでもしてる?」
「いいようにだなんてそんな...。違いますよ。1から全部お話ししたほうがいいですか?どうして足立さんを好きになったのか。」
「全部じゃなくてもいいけど...。」

コホンと咳ばらいをしスバルがゆっくりと話を始めた。

僕のこと、最初は当然怖かったらしい。そりゃあ勝手に住所調べて家に訪問してきたら誰だって怖い。
でも、その時からどうしても僕がつけてるこのネクタイがスバルの中で引っかかっていたようだ。
僕からすればこのネクタイとスバルのカラーが同じだったのは偶然だけど、スバルからしてみれば必然だったようで、ファンだと言われた上に赤のネクタイをつけていたことでなおさら脳から離れなくなっていたとか。

ここまで自分のことを大切にしてくれているファンが、自分の取った行動のせいで1人減ってしまうのが怖かったから何もできなかったのかもしれない。それでも僕のことは嫌いだし怖かった。
ただ、この時にはもう心の奥底であの彼にモヤッとした感情を抱き始めていたんじゃないかとスバルは言う。

そんな感情だった頃、公園で偶然にも僕と会ってしまった。
あの日の僕が偶然黄色のコートを着ていたこと、数々の言葉をぶつけたことでスバルの心が揺らぎ最終的に心を許してしまったんだとか。

それから彼と別れるまでそう時間はかからなかったようで今に至る。

「長々とごめんなさい。わかりました?」
「んー、まぁ、なんとなく?」
「簡単に言えば...足立さんなら本当に両方の私を愛してくれるって思っただけですよ。」

昔からアイドルとしての桐谷スバルばかり注目され続けていたことに多少のストレスを感じていたようで、本当の自分を出すことができず悩んでいた。
彼に出会って変われるかと思ったけどそうでもなかったとか。

「僕は両方のスバルを愛してるよ。彼氏でもない男に平気で泣き顔見せちゃうところもね。僕以外の男の前でやらないでよ?」
「あ、あれは...その...はい。」

やられる前にスバルの感情を受け止めるのが僕の仕事なんだろうけど。

「...僕こんなに贅沢しちゃっていいのかな。僕の人生を変えたアイドルと付き合っちゃうなんて贅沢どころの話じゃない気もするけど...。」
「人生...?」
「その話はまた今度にしよう?あ、そうだ。さっき散々スバルのお願い聞いたんだから1つぐらい僕のお願い聞いてくれてもいいよね?」

僕のその言葉に、スバルは目をキラキラと輝かせながら元気にうなずいた。

「僕だけのためにアレやってほしいんだけど。ちゃんといつも通りにフリ付きでね?」
「...わかりました。ちょっと恥ずかしいな...。」

スバルはその場に立ち深呼吸を1回。
そんなに気合いを入れることなのかとは思ったけど、ずっと願っていたことが叶うその瞬間を今か今かと待ちわびた。

「透を元気にして、あげ、るん!」

名前でやってくれとは注文していなかったけどそんな大サービスまでしてくるのかこの子は...。
応用が利きすぎじゃない?

「あれ、違いました?」
「大正解。ありがとうスバル。...愛してるよ。」

スバルが僕だけのために笑った。
こんなことが本当にあっていいのか、これは長い夢じゃないのか。
違う。夢じゃない。

「私も愛してるよ...。足立さん!」

少し恥ずかしそうに笑う君が目の前にいる。
それがすべての証明なんだ。




これは、誰にも言えない
僕と彼女の
恋の物語。