「あ、御幸」

そんな聞き覚えのある声が聞こえたのは、三塁側の応援席から。マネージャーでもない少し高めの声は、いつも聞いている声だった。

振り向いて見上げた先には、揃いの青道Tシャツとキャップの応援団スタイルに身を包んだ緋色がいて、楽器片手にヒラヒラと呑気に手を振っている。しかも、その顔は無表情だ。


「…野外応援嫌だったんじゃねーのかよ」
「今日曇りだから問題なし」
「あ、そ。」



よりによってタイミングが悪すぎる。
なんでこの大会で、できることならば応援席で会いたくはなかった。





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