初対峙

初対峙

「ご苦労だったね。」

私と久慈島を屋敷で迎えたのは、長州勢実質的な人物、言わずもがな、桂小五郎その人だ。
久慈島を間者として新選組に潜り込ませた張本人でもある。



「久慈島くん、潜伏ご苦労。
あとは休みなさい。」
「はい。」


一礼して去っていく彼の絵中を見送り、桂さんは私を見た。そして、部屋へと促す。

どうやら私はこれからこの人の話を聞かねばならないらしい。

おそらく、大半は説教に違いない。女は夜に外に出るな、新選組に近づくな。べらべらべらと続く言葉に、感心ししまうほどだ。



去っていく久慈島を見送り、私は桂さんとともに、部屋に入る。



「収穫は?」
「久慈島に聞いたほうが早いのでは?」
「君の見解を聞きたいという意味だ。」

ゆらゆらとろうそくの炎が、不気味に室内を照らす中、私は口を開いた。




「新選組内に、伊藤甲子太郎暗殺の動き、か。
なるほどな。」
「それに伊藤は、薩摩と内通しているらしい。」
「長州にも、接触があったらしいが、誰も取次はしなかったよ。」



新選組を裏切って、こちらにつく気か?それとも、他に何か目的があるのか。

まだ、情報が足りんな。






「ほー、それで?」


考える私の脳に、聞き覚えのある声が割り込んできた。



それは、このところ長州に戻っていた友人。


障子戸を開けて入ってきたのは、又しても顔なじみだった。


「不知火、なんでここに…。」




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