宵闇の鬼事
宵闇の鬼事
刀を目掛けて走り出した私に、すぐさま追っ手がかかったようだ。
「追え!」
「はっ!」
彼女を見捨てて逃げたのは、あくまでもかけだった。彼女の見張りに一人、そうなれば自ずと追っ手は2人だ。
刀を交えて戦わねばならない限り、巻くことはできるだろう。
刀に近づいた私は、そのまま柄の部分に飛び乗ると、軽く反動をつけて飛んだ。この時代の建物は決して高くはない、刀を突き刺す位置の高めにすれば屋根に登るなど容易だ。
最後に彼方にくくりつけておいた紐を引き、チラッと彼らを確認し再び走り出した。
彼らと同じ羽織を着た化け物。
追ってくるということは、彼らにとってアレは見られてはならないものということだ。それは、彼ら自身が証明してくれた。
そしてあの羽織は、最近京で名前を聞くようになった新選組といったか。要するに佐幕派。
暗闇の鬼事は、だいぶ体力がいるが、今夜見たことはきっと無駄ではなかったはずだ。
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雪の降る闇の中を走る背中を睨みながら、
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