隣で寝ていたはずのなまえがいないことにぬくもりが冷めて気がついた。
時計を見れば早朝だけどまだ外は薄暗い。
体を起こして部屋を見渡したら窓辺で薄ら空に残る月を見上げてるなまえの姿があって、安堵した。
「なにしてんの」
「わっ、びっくりした…起こしちゃいました?」
「びっくりしたのこっち。いねえから帰ったかと思った」
「さすがにまだ早いですよ」
後ろから覆うようにしてなまえを腕の中に閉じ込める。その上から毛布をかけて二人で包まった。
目線を少し下げたらうなじから背中にかけてなまえの白い肌に残る痕が一つ二つ三つ…数えんのやめよ。
後ろから噛み付くたび拍車をかけるような声出すなまえに癖になったとはいえやりすぎた。
謝罪の意味も込めて強く抱きしめながら首筋に顔を埋める。
「目が覚めちゃって、二度寝してもよかったけどそうするとすぐ朝がきちゃうから…ここから景色と銀さんを交互に見てました」
「…もっと一緒にいたいのにって思った?」
「っあ、あたりです…」
別れ際、口には出さねけど最初の頃は特に子犬みてえな顔してたもんな。
同い年なら、ましてや年下の18歳ドS野朗とかだったらなまえも我儘言いやすかったりすんのかな。年上で変に捻くれた俺みたいなのが相手だと、今まで大人びてたと思ってたなまえのイメージが無理に合わせさせてたんじゃないかとすら思えてくる。
次いつ会うかなんて別れ際に決めねえし、女が喜ぶような甘い言葉なんて囁かねーし?
年相応の恋愛なんてさせてやれたことないけど、
「なあ、女中のバイトもう辞めちゃえば?」
「え。どうしたんです急に」
「ここ、住めばいいじゃん」
認めたくはねえけど真選組より給料は安い、けど万事屋には神楽や新八もいるし。寂しくはねえはず。
治安の悪い歌舞伎町でわざわざ家賃払いながら一人暮らしするくらいならさ、
「それは…従業員として、ですか…?」
静かな部屋じゃないと聞こえないくらい小さいなまえの問いかけに、またいらない屁理屈ばっか並べて肝心なこと言ってないことに気がついた。
「従業員つーか…あれだよ。」
「家政婦?」
「ばっか、お前。誰がんなこと言ったよ」
認めよう、ベタ惚れだって。いらねえプライドにいつも付き合ってくれてたなまえのために。
それでなまえが喜んでくれんなら安いもんじゃねーのか?って今なら思うから。
「つまりは嫁さんとして、ここで暮らさねえか?ってこと。…俺も一緒にいたいから」
いつのまにか俺のがお前にくびったけってこと、わかる?
露草
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