それが毒だと僕は知っていた。


「君が好きだよ」


なんて言う彼を僕はいつも嘲笑っていた。


彼はαで僕はβ。


僕はΩでさえ無くて、彼の“運命”でも当然ない。


「好きだ、君だけが好きだ」


まるで自分に言い聞かせるように彼は甘い言葉を最近、以前よりも言うようになった。


「そうだね。知ってるよ僕も君が好きだよ」


何でこんなにも彼は必死になるのだろう。


僕なんて所詮彼の“運命”がΩが現れるまでの繋ぎだというのに。


馬鹿なα


今だけは僕のα


そう遠くない未来にきっと何処かへ言ってしまうα


「心配しないでよ。僕はずっと傍にいる」


「離したくない。本当だ、本当なんだよ」


わかってる。


傍にいてあげるさ、君が番を見つけるまでは。