「俺の女にならんか?」

「……………………………は?」






運命を君と。
12.Fraud






「あの…銀髪君。」
「雅治って呼びんしゃい名前。」

顔が近い。
名前は明らかに危険を感じていた。

「顔近くないかい?銀髪君。」
「強情やのぉ。」

口許を上げて笑う仁王に何故か壁に追いやられ、右手を顔の横に、左手を顎に置かれていた。
名前は、どうやってこの場から切り抜けようかと考えていた。

「なぁ、名前。」
「…なんすか。」
「返事は?」
「言ったら離してくれる?」
「そうやの……返事次第。」

満面の笑みを浮かべる仁王に、名前は小さく溜め息をついた。

「…嘘とか冗談でそういうこと言っちゃダメだよ。銀髪君。
その辺の女子は騙せても、私は騙せない。」
「本気だって言ったら?」
「本気じゃないでしょ?」

名前は仁王をじっと見た。
仁王も名前をじっと見つめ、そして下を向いて笑い出した。

「…くくっ……はははっ」
「何さ…。」
「お前さん、面白すぎじゃ。…くくっ」
「…あんた、笑いすぎ。」

まだ少し笑っている仁王に、名前は少しむっとした。

「悪い悪い。……気に入った。」
「………は?」
「お前を絶対、俺のモノにしちゃるけぇ。
覚悟しんしゃい。」
「…………………はぁ?」

なんなんだその宣言は。

名前はぽかーんとして仁王を見ていた。


「ま、今はこの辺にしとくか。
そろそろ行かんと真田が煩そうじゃ。」
「…………あ。部活。」

すっかり存在を忘れかけていた部活。
真田よりもブン太に怒られそうな気がした名前はその場を動こうとした。…が、

「いい加減離さない?」
「んー…しょうがないの。」

そう言ってあっさり解放されたかと思うと、腕を掴まれ仁王の方へ引き寄せられた。
そして名前の額に仁王の唇が触れた。

「…………………へ?は?」
「行くぜよ。名前。」
「ちょっ…!」

名前は仁王に手を引かれ部室へと向かった。


ただひたすらこのペテン師に

振り回されたまま。





next.

<< title >>